国軍と準軍事組織による戦闘が続くアフリカ北東部のスーダンで、人道危機が深まっている。国際キリスト教NGO「ワールド・ビジョン」のスーダン支部で事務局長を務めるジョン・マコニ氏は、「子どもが生活するには恐らく世界で最悪の場所。子どもたちは身体的、精神的なあらゆる困難に直面している」と警鐘を鳴らす。
武力衝突は停戦の兆しが見えないまま、15日で2年目に突入した。国連子どもの権利委員会によると、スーダンの約2400万人の子どもたちが、将来に影響する破滅的な状況に置かれている。約1900万人の子どもたちが学校に通っておらず、数百万人が家を追われ、極度の食料不足と医療の欠如に苦しんでいる。
マコニ氏は「子どもたちは飢えに苦しみ、虐待され、自分たちが経験し、目撃していることによって心に傷を負っている」と説明。「多くの人が暴力から逃げてきたが、本当に安全な場所を見つけることはできていない」と訴える。
ワールド・ビジョンは国連児童基金(ユニセフ)と協力し、子どもたちのための安全な居場所「チャイルド・フレンドリー・スペース」を運営している。スーダン南部の青ナイル州アブラマドにある同スペースでは、子どもたちがバレーボールやバスケットボール、縄跳び、ボードゲームをしたり、画材を提供されて絵を描いたりできる。毎日100人以上の子どもたちが活動に参加しているという。
マコニ氏によると、避難民となった女性や少女は、一時的な避難所や国境検問所に移動して生活する間に、性的暴力の大きなリスクに直面している。ワールド・ビジョンでは、暴力を経験した人々のケースマネジメントを支援し、心理社会的サービスを提供している。また、青ナイル州では生計向上のトレーニングを提供し、女性たちが新たな生計手段を見つけられるよう支援している。
ワールド・ビジョンは、スーダンで活動する最大の人道支援機関の一つ。25年間スーダン国内で活動しながら、スーダンからチャドや中央アフリカなどの近隣諸国へ逃れた人々のニーズにも応えている。これまでの1年間でスーダン危機への対応として、130万人以上に食料安全保障や子どもの保護などの緊急支援を提供した。
ワールド・ビジョンは、世界がスーダンの人道危機に目を留め、▽支援を人々に届けるために、南スーダンとチャドからの国境を越えたアクセスを確保すること、▽国際社会やスーダン政府が、数千人に上る国内避難民に人道支援を届けるための資金を確保し、緊急に利用できるようにすること、▽子どもたちを暴力から守り、教育の欠如により子どもたちが将来にわたって影響を受けるのを防ぐために、紛争の全ての関係者が学校再開にコミットすること――を含め、対応を拡充させることが緊急に必要だと訴えている。