キリスト教精神に基づき世界の子どもを支援する国際NGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」(WVJ、東京都中野区)は3日、老舗寝具メーカーの西川(同中央区)と協力し、能登半島地震の発生後初めて入居が始まった石川県輪島市の仮設住宅に、入居する18世帯55人分の寝具セットを支援した。
仮設住宅は、同市の観光施設「輪島キリコ会館」の多目的広場に建てられた2DK14戸、4DK4戸。1月31日に完成し、寝具セットは3日の入居に先立ち、同日朝に各戸に搬入された。
WVJと西川は、2016年の熊本地震で協力して物資支援を行った経験を踏まえ、同年「災害時における物資の供給に関する協定書」を締結。今回の支援はこの協定に基づき行われ、同市の要請を受けてから2日で寝具セットを用意し、入居開始日までに間に合わせることができた。
最初に入居した家族には、「温かいお布団でまずはゆっくりお休みください」と言葉をかけ、寝具セットを直接渡した。この他、入居世帯の子ども向けに、文房具など年齢に応じたプレゼントも手書きのメッセージを添えて用意した。
同市総務部防災対策課の堤雄貴氏は、「避難生活も1カ月を超える中、最初の仮設住宅が完成し、18世帯55人の皆さんにご入居いただけたことは第一歩です。その一歩を皆様にご支援いただいた物資をお届してスタートできました」と述べ、「まずはゆっくり寝ていただき、そして、ご自身の生活リズムを取り戻していただければと願っています」と話した。
WVJは、1月7日から被災地にスタッフを派遣し、行政や他団体と連携しながら支援活動を行っている。支援は子どもを中心としたもので、避難場所での子どもの居場所づくりや、心理的応急処置(PFA)のアドバイス提供、子ども向けのイベント実施、文具・おもちゃ・衛生用品などの子ども向けの物資支援、学校・保育所・放課後学童クラブ再開のための物資支援などを行っている。
一方、同市では4千件を超える仮設住宅への入居申請があるが、これまでに着工しているのは、完成した18戸を含め約550戸。さらに県内では、応急的な仮住まいの需要が9千戸以上あるとみられ、3月末までに仮設住宅約3000戸の着工と約1300戸の完成を目指しているほか、賃貸物件などを自治体が借り上げる「みなし仮設住宅」や公営住宅の用意が進められている。