ウクライナ南部オデーサで2日未明、ロシアのドローン(無人機)による攻撃があり、バプテスト派の牧師の娘と孫を含む12人が死亡した。集合住宅を狙ったこの攻撃では20人が負傷し、重体の犠牲者も出ている。
死亡したのは、オデーサで単立のバプテスト教会を牧会するニコライ・シダック牧師の娘アンナ・ハイダルジさんと、生後4カ月の息子ティモフィー君。集合住宅の2階の部屋にいた2人は、がれきの下敷きになり、即死したとみられている。
米CNN(英語)によると、アンナさんの夫セルヒイさんと3歳の娘ライザちゃんは、別の部屋にいたことで攻撃を免れた。攻撃があった際、アンナさんとティモフィー君は就寝中だった。
米テキサス州バプテスト連盟が運営するメディア「バプテスト・スタンダード」(英語)が、ウクライナ福音バプテスト同盟のイゴール・バンドゥーラ副会長の話として伝えたところによると、アンナさんとティモシー君の遺体は、その日の午後4時ごろに発見された。
この攻撃では、アンナさんとティモフィー君の他、生後7カ月から9歳までの子ども5人が犠牲になった。オデーサでは攻撃への怒りが高まっており、現地の人々は現場に花やろうそく、おもちゃなどを供えて追悼の意を示した。
セルヒイさんは、3日に行われた追悼式で攻撃があった夜のことを語った。セルヒイさんは、ライザちゃんを寝かしつける際、一緒に寝てしまうことがよくあるという。普段はアンナさんが、寝てしまったセルヒイさんを起こしてティモフィー君のいる部屋に呼ぶが、この日はアンナさんも寝てしまった。そのため、セルヒイさんはライザちゃんの部屋で寝たままになり、生き延びることになったという。
セルヒイさんは、救助隊員が悲劇的な結果を確認するまで16時間待った。
「私は2人が苦しんでいるのではないかととても心配しましたが、医師は2人が眠っている間に死んだと言いました。2人は眠ったままの姿勢で発見され、一緒にいたのです」
この攻撃で、家族全員が犠牲になった一家もあった。夫婦でウクライナ軍に勤務していたテチヤナ・クラベツさんと妻のオレフさんは、3人の子どもたちと共に亡くなった。2人の子どもは、7カ月のリサちゃん、8歳のズラータちゃん、9歳のセルギー君。捜索活動で最後に見つかったのが、この一家の遺体だった。
今回の攻撃に使用されたドローンについては調査中だが、破壊力が強化されていたことが疑われている。ウクライナ南部軍司令部のナタリア・フメニウク報道官は、異常なほどの破壊レベルであることから、爆薬が強化された可能性を示唆している。