日本基督教団涌谷(わくや)教会(宮城県涌谷町)から解任された元牧師の瀧澤雅洋氏が、解任決議の無効などを主張して起こした訴訟で、最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は1日、瀧澤氏の上告を棄却した。これにより、解任決議の有効性を認め、瀧澤氏に対し、解任後も占拠していた牧師館の明け渡しと賃料相当損害金を支払うよう命じた控訴審判決が確定した。
涌谷教会は2019年10月、同教会が設立母体の涌谷保育園で、職員が当時園長だった滝澤氏からパワーハラスメントを受けたと訴えていることを受け、滝澤氏の主任担任教師(牧師)解任を臨時教会総会で決議した。その後、教区議長の承認と教団議長の同意を経て、滝澤氏は翌20年1月には宗教法人の代表役員からも解任された。
これに対し、瀧澤氏は手続き上の問題があったとして、解任決議の無効を主張。自身が現在も代表役員の地位にあることの確認と、代表役員としての報酬の支払いを求めて提訴した。教会はこれを受け、瀧澤氏が解任後も占拠していた牧師館の明け渡しと賃料相当損害金の支払いを求めて提訴。元牧師と教会双方が訴え合う形の訴訟となっていた。
瀧澤氏を巡っては、パワハラを受けたとして涌谷保育園の職員17人が一斉退職。このうち12人が同園を運営する社会福祉法人涌谷みぎわ会に対して、計2640万円の損害賠償を求める訴訟が、仙台地裁で行われている。