日本基督教団涌谷(わくや)教会(宮城県涌谷町)から解任された元牧師の瀧澤雅洋氏が、解任決議の無効などを主張して起こした訴訟の控訴審判決が22日、仙台高裁であった。瀬戸口壮夫裁判長は、決議の有効性を認め、解任後も牧師館を占有している滝澤氏に明け渡しと賃料相当損害金を支払うよう命じた1審判決を支持し、滝澤氏の控訴を棄却した。
訴訟は、同教会が設立母体の涌谷保育園で、当時園長だった滝澤氏からパワーハラスメントを受けたとして、職員が大量退職したことに絡むもの。同教会は2019年10月、臨時教会総会を開き、同園でのパワハラなどを理由に滝澤氏の主任担任教師(牧師)解任を決議。その後、教区議長の承認と教団議長の同意を経て、滝澤氏は翌20年1月には宗教法人の代表役員からも解任された。
滝澤氏は1審に続き、臨時教会総会の開催を決議した19年9月の臨時役員会、また臨時教会総会そのものについて、手続き上の問題があったとして、解任決議の無効を改めて主張。自身が現在も代表役員の地位にあることを確認し、報酬を支払うよう求めたが、判決は「控訴人(滝澤氏)の主張は、いずれも採用できない」とした。
滝澤氏はこの他、牧師館について「居住環境として恵まれていない」などとして、1審で認定された賃料相当損害金の減額も主張した。しかし、これについても「賃料相当損害金を月額5万5千円とした原判決の認定判断は、裁量の範囲内として是認することができる」として認められなかった。