同性愛を巡る分裂により、米国第2のプロテスタント教団である合同メソジスト教会(UMC)から、この4年間に6千以上の教会が離脱したことが明らかになった。
UMCの公式メディア「UMニュース」の集計(英語)によると、これまでに離脱を承認された教会は6千の大台を超え、10日時点で6181教会となった。
この数には、2019年以降に離脱した全ての教会が含まれている。特にこの2年間に離脱する教会が増えており、22年は1826教会、23年はこれまでに4172教会が離脱した。
UMニュースは、米国内の各年会(教区に相当)の報告書や、公開されている定期刊行物、22年と23年に開催された各年会の特別会合の報告書などを基に集計を実施。所属教会の離脱や閉鎖に関する公式数値は、UMCの財務運営総評議会が集計しているが、各年会が正式な報告書を提出するのを待たなければならないため、UMニュースの集計より古い数値になっているという。
UMCからの離脱を承認された教会は、6月初めに5千の大台を超えたばかり。その後も6月22日には、マウンテンスカイ年会で38教会が、同28日にはミシシッピ年会で、同年会内の約5分の1に相当する189教会が離脱することが承認されている。
ミシシッピ年会のシャーマ・ルイス監督は、189教会の離脱が投票によって承認された後、同年会にとって「この離脱プロセスは厳しい」ものであり、「皆さんには残ってほしかった」と語った。
「教職、信徒、信仰共同体が、次のステップについて祈る時間を取ったという信念を、私は持たねばなりません。また正直に言うならば、緊張もありました。私はこの場を、その全てを捨て去れる時間と空間にしたかったのです」
UMCは過去数十年にわたり、同性婚に対する祝福や同性婚者に対する按手(あんしゅ)を禁止している教憲の改定を巡って議論してきた。
教憲の改定は、結局実現しなかったが、教団内の神学的進歩派は、しばしば教憲の遵守や施行を拒否してきた。昨年11月には、西部地域会(地域会は複数の年会を束ねる地域組織)が、同性婚をしているカリフォルニア太平洋年会のセドリック・ブリッジフォース牧師を監督に任命する決議をしている。
こうした教憲を無視する一部の指導者の姿勢は、多くの神学的保守派を離脱に向かわせた。
UMCは19年の特別総会で、教憲に第2553条を追加することを議決し、同性愛を巡る長年の論争を受け、教会がUMCから離脱することを認めるプロセスを設けた。このプロセスは、今年末に期限を迎える。
離脱した教会の多くは、UMCに代わる神学的保守派の教団として昨年発足した「グローバル・メソジスト教会」(GMC)に加わっている。