米国第2のプロテスタント教団である「合同メソジスト教会」(UMC)内の保守派は5月1日、離脱を前提とした新教団「グローバル・メソジスト教会」(GMC)を正式に発足させた。
UMCでは、教団内で同性愛をめぐる論争が長年続き、2020年の総会で保守派が分離独立し、新教団を設立する方向性が決まっていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で総会の延期が続き、今年3月には3回目の延期が発表されていた。
次期総会の開催が早くても2024年になる見通しとなったことから、保守派の指導者らは総会を待たずにGMCの発足を決めた。発表(英語)によると、GMCは今後1年から1年半の間は、設立総会を準備するための移行期の教会として運営される。
一方、UMCの司法協議会は10日、教団内の年会(教区に相当)が合法的に離脱するには総会の承認が必要だとする決定を下した。
司法協議会は第1114号評決(英語)で、「いかなる年会においても、当座の政策を採用し、決議または採決を行い、あるいは合同メソジスト教会から脱退する目的で一方的に行動する根拠は教会法上存在しない」とし、「総会の承認がない限り、分離のために年会が行ういかなる採決や行動も、教憲に反するものであり、無効であり、法的効力はない」とした。
また、UMCの教憲教規第572条には、米国外の教会組織の独立を認める記述があるが、司法協議会はあくまでも米国外の場合であると指摘。「米国内の年会には、これと同様の規定もプロセスもない」とし、「これが意図されたものかどうかは別として、司法組織は立法組織の教憲上の特権を侵害しないように注意しなければならない。従って、第572条のプロセスや要件は、いかなる年会においても、合同メソジスト教会から分離する最低基準となるとはみなされ得ないとわれわれは考える」とした。
UMCのニュースサイト「UMニュース」(英語)によると、UMCには現在、米国内に53の年会があり、アフリカ、フィリピン、欧州などの米国外に80の年会がある。
米国内では、テキサス北西部年会とジョージア南部年会がUMCからの離脱を模索している。テキサス北西部年会についてはすでに昨年、GMCが設立された場合、加入を希望するとする採決を行っている。
また、UMC内の保守派グループ「ウェスレアン・カベナント連合」(WCA)のフロリダ支部は3日、UMCに所属する同州内の560教会のうち、約20パーセントに相当する107教会がGMCへの加入手続きを開始していることをフェイスブック(英語)で明かした。
同支部は、「この幅広い教会群には、大小の地域教会、およびアングロサクソン系、アフリカ系、ラテン系、韓国系、その他の民族の信仰共同体が含まれています。これらの教会は、2022年5月1日に新たに発足したGMCと連携することになるでしょう」としている。