社会に疲れた人、障害や精神疾患当事者、単身高齢者、信仰の悩みや不安を持つ人々への無償傾聴サービスを行う神戸市の一般社団法人「善き隣人バンク」は、全国で急増する依頼に対応できる体制を整えるため、活動費の一部をクラウドファンディングで募っている。傾聴スタッフは全国に30人を超え、そのほとんどがクリスチャンだ。代表理事を務める広田信也牧師は、「全国からご依頼や問い合わせが増えています。多くの方々にこの働きを知ってもらい、共に取り組んでいただけたら」と話す。
コロナ禍の始まった2020年春にクラウドファンディングで資金を集め、活動を開始。孤独を抱え、善き隣人を求める声が、全国から届くようになった。急速に高齢化が進み、単身世帯も増える中、「傾聴サービスのニーズは予想以上に高まっている」と広田牧師は話す。
広田牧師は、トヨタ自動車に技術開発者として31年勤めた後、関西聖書学院を卒業し、国内宣教師として献身。2014年にはキリスト教式の冠婚葬祭事業などを行う会社「ブレス・ユア・ホーム」を立ち上げ、日本人に寄り添う宣教の在り方を模索してきた。
依頼者は、傾聴スタッフに心の痛みや苦しみを話すことで落ち着きを取り戻していく。継続して依頼者に寄り添うことで、実際に依頼者の抱えていた問題が整理されたり、家族との関係が改善されたりするケースが増えてきたという。依頼者からは「心の重荷が取れた」「苦しい時にまた、お話を聞いてもらいたい」「この話し相手がなかったら、どうなっていたか分からない」といった感謝の声が寄せられている。
1人の依頼者に対して2人以上のスタッフが対応しており、フルタイムで稼働するスタッフリーダーが全体を管理している。しかし、フルタイムスタッフは現在1人しかおらず、利用者の急増に対応が追いつかない状況で、増員が急務だという。
広田牧師は「『傾聴』というシンプルな活動ですが、孤独を抱える現代社会にとっては命をつなぐカギになるものと考えています。孤独に苦しむ人々を一人でも多く支えるために、ぜひ協力をお願いしたい」と話した。
目標額は250万円。得られた資金は、増員予定のフルタイムスタッフ1人分の人件費や、パートタイムの傾聴スタッフに支払う時給、それらに伴う経費・交通費に充てる。目標額は、これらの8カ月分に相当するという。募集は4月10日まで。クラウドファンディングの詳細は、専用の案内ページを。