世界最大の聖書アプリ「YouVersion(ユーバージョン)」の開発元である米メガチャーチ「ライフチャーチ」は1日、2022年に同アプリ上で最も人気のあった「今年の聖句」を発表した。
毎年発表される「今年の聖句」は、ブックマーク数やシェア数、ハイライト数などの合計が最も多かった聖句。発表(英語)によると、今年は旧約聖書のイザヤ書41章10節だった。
「恐れてはならない、わたしはあなたと共にいる。驚いてはならない、わたしはあなたの神である。わたしはあなたを強くし、あなたを助け、わが勝利の右の手をもって、あなたをささえる」(イザヤ41:10、新共同訳)
イザヤ書41章10節は、2018年や20年にも「今年の聖句」に選ばれている。
ユーバージョンの開発担当者であるボビー・グルーネワルド牧師は、「この聖句の人気は、私たちが苦難の中で孤独を感じるときも、そうではないことを思い起こしたいという人々の願いを表しています」とコメント。「この聖句にあるように、神は私たちの力であり、いつも私たちと共にいてくださるのです」と話した。
ユーバージョンは、iPhoneでサードパーティー製アプリの利用が可能になった08年に、ライフチャーチが開発。以来、アプリで利用できる聖書の言語・訳の数は増加し続け、現在は1868言語2863訳の聖書を全て無料で利用できる。利用者も増加し続け、インストール数は5億4500万件を超えている。
今年、アプリが開かれた回数は55億回で、アプリ内の聖句がハイライトやブックマークされたり、聖句に関するメモが作成された回数は23億回に及ぶ。また、アプリを使ってシェアされた聖句は5億5千万カ所に上り、アプリ内の検索件数は3億300万件だった。
ユーバージョンで今年、特に顕著な特徴を示したのは、ウクライナ語の聖書だった。
2月末にロシアがウクライナに軍事侵攻を始めた後、多くのウクライナ人が欧州諸国を中心に国外避難したが、それら避難先の国々でウクライナ語の聖書の利用が急上昇したという。
21年と22年それぞれの第3四半期のデータを比較すると、ウクライナ語の聖書の利用は、ポーランドでは241%、ドイツでは733%も増加した。欧州全体でも76%の増加だったという。また、ウクライナにおいても、聖書の利用は55%増加した。
侵攻が始まると、ウクライナ語によるアプリ内の検索件数は約2倍に増加。侵攻開始当初は「戦争」「恐怖」「不安」などが最も頻繁に検索される言葉だったが、時間がたつにつれ「愛」が最も検索される言葉となった。
「これらの家族は、私たちの多くが想像もつかないような状況に置かれています。恐らく人生で最も困難な時期に、彼らは慰め、平安、希望を求めて聖書に目を向けています」。グルーネワルド牧師はそう言い、「神の言葉を、人々が最も必要とする瞬間に利用できるようにする一助となれることを光栄に思います」と語った。
国別では、聖書の利用が今年、最も増加したのはキューバで、前年比で76%増加した。一方、聖書の利用が最も増加した地域は、欧州とアフリカだった。
聖句のシェア数は、ブルガリア(31%)、ポーランド(38%)、ウガンダ(53%)、コンゴ(旧ザイール、53%)が、前年に比べて大幅に増加。ベルギーでは、オーディオ聖書の利用が前年に比べて38%増加し、ハイライトされた聖句は46%増加した。また、ナイジェリアとフランスでは、アプリ内の検索件数が前年に比べて増え、それぞれ41%と65%増加した。