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「聖書通読、回重ねるごとに喜びがある」 『1年で聖書を読破する。』の鈴木崇巨牧師

2021年1月1日01時18分
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関連タグ:聖書通読鈴木崇巨
鈴木崇巨+
鈴木崇巨牧師

「今年こそは聖書通読を!」 一年の初めに、そう目標を立てるクリスチャンは多いかもしれない。しかし、旧約・新約合わせて2千ページ近くに及ぶ聖書を最初から最後まで読み通すのは、それなりのエネルギーと時間を必要とする。途中で挫折してしまう人が多いのも聖書通読だ。聖書を読み通すためのコツはあるのか。『1年で聖書を読破する。―永遠のベストセラー完読法』の著書があり、「聖書検定」の公式テキスト本論著者でもある鈴木崇巨(たかひろ)氏(日本基督教団引退牧師)に話を聞いた。

1942年、三重県で生まれた鈴木氏が最初に教会を訪れたのは15歳の時。家の前で太鼓をたたきながら伝道していた人がおり、それから興味を持って教会に行くようになった。仏教と神道が混在した「普通の日本の家庭」で育った鈴木氏は当時、キリスト教に関する知識をまったく持ち合わせていなかった。教会に通うようになってから聖書を読み始めるが、最初の聖書通読は出エジプト記の半ばで挫折。その後も何度か試したが、出エジプト記より先に進むことはなかった。

そんな鈴木氏も献身を決め、高校卒業後18歳で東京神学大学に入学。大学院を修了して24歳で牧師になった。その後は71歳で引退するまで、日本基督教団東舞鶴教会、田浦教会、銀座教会、頌栄教会などの教会を牧会。途中、米国に留学し、2つの神学校で学び、ビリー・グラハム伝道協会で働いたこともあった。また、聖隷クリストファー大学(静岡県)で教授・宗教主任を務めた時期もあった。

牧師にとって、神の言葉である聖書をひもとき伝える毎週の説教は、最も大切な仕事の一つ。47年にわたり牧師として働き続けた鈴木氏にとって、聖書を読むのは当たり前だった。しかし40歳ごろ、聖書の読み方に大きな変化があったという。

「端的に言えば、若い頃は神学的に聖書を読んでいました。説教で伝える聖書箇所を中心に、旧約、新約それぞれの関連箇所や注解書を読み、『説教を作るために聖書を読む』という感じでした。しかし40歳くらいからは、聖書を神の声として聞くというような読み方に変わりました。聖霊の導きによって聖書を読む、霊的に聖書を読むということです。以前から言われていたことですが、それが本当によく分かるようになったのが40歳ごろでした」

鈴木氏が本格的に聖書通読をするようになったのも、40歳ごろからだった。旧約の各書を【歴史書】【文学書】【預言書】の3つに分け、各部分から3~5章、計9~15章を、また新約の各書を【福音書】と【使徒書】の2つに分け、各部分から2章、計4章を1日に読むようにした(注)。こうすることで旧約・新約の各部分をバランスよく、多いときで1日に計約20章を読むことができ、半年弱で通読することができたという。

聖書を読む時間と場所は、子どもたちを学校に送ってからの午前8時から10時までの約2時間、書斎でと決まっていた。書斎には、聖書辞典やキリスト教大事典、さまざまな著者の注解書があったため、分からない箇所はその都度調べながら読み進めていった。30分ほど祈ってから聖書を読むこともあれば、2時間ずっと聖書を読み続けることもあり、「時間があれば、もっと聖書を読んでいたいという思いでした」と話す。

しかし、祈りと聖書に毎日2時間も費やせるのは、牧師だからできることでもある。「一般の信者は無理でしょう」と鈴木氏は話す。鈴木氏がこれまで牧会してきた教会では、教会員の約3分の1は、普段は聖書をまったく読まない人たちだったという。しかし「それでもいいから、礼拝には来てください」というのが鈴木氏のスタンスだった。それは、2千年あるキリスト教の歴史の中でも、印刷された聖書が登場したのは約500年前のことにすぎず、それ以前の約1500年間は、現代のような形の聖書は存在しなかったからだ。「全員がクリスチャンホームで育った成績優秀な信者ばかりではないのです。本当に聖書を読める人は限られています」

そのため、一般の信者に対しては一律に聖書通読を勧めるようなことはしてこなかった。それでも通読方法を尋ねてくる人に対しては、自分のペースで旧約と新約の両方を合わせて読むように勧め、さらに具体的に尋ねてくる人には、鈴木氏が実践していた旧約・新約を計5つの部分に分けて読む方法を伝えた。

一方、引退後の2016年に出版した『1年で聖書を読破する。』は、キリスト教に興味を持つ一般の人たち向けに執筆した。「キリスト教を知るには聖書を読むのが一番」というのが鈴木氏の考えだ。さまざまなキリスト教入門書が出版されているが、聖書そのものを読むのが、キリスト教を知る正攻法であり最善の方法だという。出版から4年ですでに11刷までされており、今も安定して売れている。キリスト教書としてはかなり売れている方で、キリスト教や聖書に興味を持つ日本人が一定数いることを感じるという。

「キリスト教を知るには聖書を読むのが一番」という考えは、鈴木氏が長年取り組んできた個人伝道の経験に基づいている。鈴木氏は現役時代、教会を訪れた人や出会った人に「聖書を勉強してみませんか」と率直に尋ねるようにしてきた。そして「はい」と返事があった人には、何年もの牧会経験を基に作成した『求道者伝道テキスト』を用い、1年かけて聖書を教えていった。この方法で実に15年間で約120人の受洗者が与えられたという。

「聖書を学んだすべての人に共通しているのは、『分かるとうれしい』ということです。1年かけて学べば、聖書も大体分かります。『聖書の神様はこういう神様なのだ』と。分かった人は、喜んで信仰を持ってくださいます。『分かる=信仰を持つ』だと思っています」

40歳ごろに大きな転換を迎えて以来、数え切れないほど聖書を通読してきた鈴木氏だが、それでも聖書を読む醍醐味は「分かるとうれしい」に尽きるという。「分かれば分かるほどうれしいのです。これは霊的な喜びといえると思います。2度目、3度目と回を重ねたくなる。そういう魅力が聖書にはあります。通読できる人とできない人がいますが、通読できる人はぜひ通読をしてください。回を重ねるごとに霊的に満たされていきます」

一方、通読ができない人には祈りを勧める。

「どんな人でも祈りはできます。神様がそのように造られていますから。一言でもよいのです。主の祈りを唱えるだけでもよいですし、寝床に入ってから『ハレルヤ、アーメン』と、それだけでもお祈りです。聖書は毎日少しずつ読む人もいれば、通読できる人もいます。でも、祈りは誰でもできます。聖書を通読できなくても、あなたは素晴らしいクリスチャンです」

注)歴史書:創世記~エステル記、文学書:ヨブ記~雅歌、預言書:イザヤ書~マラキ書、福音書:マタイによる福音書~ヨハネによる福音書、使徒書:使徒言行録~ヨハネの黙示録

関連タグ:聖書通読鈴木崇巨
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