政治的保守のクリスチャンらが集まり、戦争と平和について学ぼうと、日本キリスト者オピニオンサイト「SALTY(ソルティー)」が15日、東京のお茶の水クリスチャン・センターで特別講演会を開催した。
集会の前半では、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)会長でソルティー主筆の西岡力(つとむ)氏が、「ウクライナ戦争からキリスト者が学ぶべきこと」と題して講演。教会が平和をつくるため、戦争をなくすためにこそ、戦争について無知でいるのではなく、国連憲章などを通して戦争とは何かを学問的に学ぶことが必要だと訴えた。
後半にはパネルディスカッションが行われ、『日本宣教論』の著者である後藤牧人牧師、「防衛関係キリスト者の会」(コルネリオ会)会長の石川信隆氏、元航空自衛官で牧師の後藤望氏がそれぞれ発表した後、西岡氏と共に戦争と平和についての意見交換を行った。
後藤望氏は、航空自衛隊の救難隊員としてヘリコプターを使っての人命救助を職務としていた。ある教会に招かれた際、牧師婦人から真面目な顔で「自衛隊員にもいい人がいるんですね。私、自衛隊員はみんな悪い人だと思っていました」と言われたり、久しぶりに行った教会で、ある信徒から「兄弟はまだ自衛隊にいますか」と聞かれ、「います」と答えると、「兄弟が早く除隊できるように祈ります」と言われたりしたという。また、別の教会に自衛隊の制服を着て行くと、「憲法違反は出て行け」と言われ、それを見ていた牧師も黙っていたという。後藤氏は、クリスチャンの自衛隊員であることが教会で理解されにくい苦しさを分かち合った。
石川氏が会長を務めるコルネリオ会は、韓国や台湾、中央アジアの国などのクリスチャン軍人と共に会合を持ち、聖書を学び、祈り合う交わりを持っている。海外では、内部に教会を公式的に設置する軍隊もあるが、日本の自衛隊では、内部で宗教活動を行うことは許されていない。クリスチャンの自衛官らは非公式に集まりを持ち、共に支え合っているが、集会場所を探しに教会に当たっても、難色を示されることがあったという。そのため、例会を決まった場所で行うこともできないでいた。だが、2019年の横浜大会開催後、東京都新宿区の牛込キリスト教会に快く受け入れてもらい、以後そこで例会を持つようになったという。
会場の参加者とも活発な質疑応答が行われ、最後にソルティーの発起人である後藤献児朗氏が「地の塩・世の光として、信仰と力と知恵をお与えください」と祈りをささげ、閉会した。