世界教会協議会(WCC)の代表団が1日から5日にかけ、ロシアによる侵攻が始まってから5カ月余りがたつウクライナを訪問した。代表団は、ウクライナにある2つの正教会それぞれのトップのほか、現地の教会指導者や宗教指導者、政府関係者らと会談した。今月末には9年ぶりとなるWCCの総会がドイツ南部カールスルーエで開催される予定で、ウクライナの代表者が総会に参加する意義を強調し、教会関係者に参加を強く促した。
イオアン・サウカ総幹事代行を団長とする代表団は3日、ウクライナ正教会(OCU、非モスクワ総主教庁系)の首座主教であるエピファニー府主教、対外教会関係局局長であるエバストラティー大主教と会談。4日には、ウクライナ正教会(UOC、モスクワ総主教庁系)の首座主教であるオヌフリイ府主教と会談した。また、首都キーウに向かう途中で、UOCの対外教会関係局局長であるメレティー府主教の歓迎も受けた。
3日には、ウクライナ教会・宗教団体協議会(UCCRO)の代表者らとも会談。アルメニア使徒教会(アルメニア正教会)ウクライナ教区の主教でもあるUCCROのマルコス・ホフハニシャン議長は、「ロシアが侵攻する中で行われた今回の訪問は、われわれにとって、またウクライナの宗教界にとって非常に重要なものです」と述べ、代表団を歓迎した。
サウカ氏は、「私たちは、WCCの総会にウクライナからの代表者がいることを確認するためにここに来ました。そうすれば、全世界があなたがたを見ることができ、あなたがた自身のために、またウクライナの人々のために話すことができます」と強調。「神は苦しむ人々の側におり、『公正に基づいた平和』(Just Peace)は常に勝利するのです」と語った。
新型コロナウイルスの影響で1年延期され、2013年に韓国・釜山で開催された第10回総会以来、9年ぶりとなるWCCの第11回総会は、8月31日から9月8日にかけてカールスルーエで開催される。ホフハニシャン氏は、総会への招待はウクライナの教会にとって非常に重要なものだと歓迎。UCCROの代表者らは、WCCや世界の教会が発する声が、現在の戦争を止める助けになることに期待を示した。
UCCROは、正教会や東方典礼カトリック教会、ローマ・カトリック教会、福音派を含むプロテスタント教会など、キリスト教の各教派に加え、ユダヤ教やイスラム教の宗教団体も加盟しており、ウクライナに存在する宗教団体の95パーセントをカバーしているという。
代表団はこの他、ウクライナの政府関係者とも会談。オレクサンドル・トカチェンコ文化情報政策相やオレナ・ボグダン国家民族問題・良心の自由局局長、オレクシー・ドニプロフ大統領府副長官らと意見を交わした。
今回の訪問には、WCCの副総幹事で信仰職制委員会委員長のオダイル・ペドロソ・マティアス氏や広報担当者のイバルス・クプシス氏らが随行した。