ポーランド南部の都市ビスワで5月21日から26日にかけ、「欧州リーダーシップ・フォーラム」(ELF)が開催され、41カ国から500人を超える福音派指導者が参加した。2003年から続く福音派指導者向けの年次カンファレンスで、20年と21年はコロナ禍によりオンライン開催となったが、3年ぶりに対面で開催された。欧州の福音派メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)が伝えた。
フォーラムは「ネットワーク」と呼ばれる25のグループで構成されており、各ネットワークは、ユースミニストリーや弁証論、教会開拓と再生、芸術、弟子訓練、科学、資金調達、メディア、カウンセリング、伝道など多様な分野をテーマとしている。
開催期間はプレイベントを含むと1週間にわたり、この間にさまざまな分野の専門家が、300を超える個人セッションやワークショップを担当した。プレイベントも、3つのカンファレンスと5つのセミナーと充実しており、さらにフォーラム最終日にはポストイベントとして3つのセミナーも開催された。23日には展示会も開かれ、約20のキリスト教団体が出展。さまざまな国から訪れた参加者と交流し、各団体の働きを紹介した。
2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻も、フォーラムの重要な焦点となった。初日の21日に行われたオープニング全体セッションでは、「東欧リーダーシップ・フォーラム」(EELF)の指導者であるウクライナ人のヤロスワフ・ルカシク牧師が語った。
ロシアがウクライナに侵攻した理由
エバンジェリカル・フォーカス(英語)によると、ロシアがウクライナに侵攻した理由を尋ねられたルカシク氏は、さまざまな理由があるとしつつも、中心的な理由は共産主義にあると考えていると語った。
「私の考えでは、それ(ロシアがウクライナに侵攻した中心的な理由)は共産主義の霊にあり、その霊はソ連崩壊後もロシアから去ってなどいなかったのです。私たちは、ナチズムは非難しましたが、共産主義は非難しませんでした。だから、プーチン大統領が西側の弱さを見たとき、この霊が、おそらくさらに悪い7つの霊を連れて戻ってきたのです」
ルカシク氏は、「自分よりも悪いほかの7つの霊を一緒に連れて来て、中に入り込んで、住み着く。そうなると、その人の後の状態は以前よりも悪くなる。この悪い時代の者たちもそのようになろう」と書かれているマタイ12章45節を引用して、このように語った。
その上で、ロシアは帝国の再建を目指していると指摘。ウクライナとベラルーシはその最初の犠牲者だとし、多くのロシア人が両国を独立した国家としては見ていないと述べた。
苦しむ人々に寄り添う教会
一方でルカシク氏は、ウクライナの教会が苦しむ人々を積極的に支援している様子を語った。
「キリストの弟子たちは、痛みや苦しみのあるところにいるべきで、ウクライナで支援活動していない教会を私は知りません。例えば、多くのクリスチャンが危険な場所から人々を避難させる手助けをしています。教会は何十万人もの難民を受け入れてきました」
「戦争が始まった当初、教会は病院として機能していました。また、人々は今、本当に祈りたいと思っているので、霊的な支援をする絶好の機会でもあります。戦争とは悪と向き合うものであり、愛が必要なのです」
正義の勝利のために祈りを
他国のクリスチャンに対しては、何よりも祈ってほしいと求めた。
「祈ってください。私たちは祈りが必要で、神が必要です。神だけが私たちを助けることができると信じています。1週間後、1カ月後、半年後に何が起こるかは誰にも分かりません。しかし、私たちは神を信頼しているので、祈らなければなりません」
「私たちは、勝利のために祈るべきです。それは正義の勝利についてです。正義だけが永続的な平和をもたらすことができるからです。私たちが祈ったように行動も起こすとき、祈りは神にとって尊いものと映ると思います。この大惨事の中、私たちはあらゆる国からの連帯、配慮、愛という多くの美しい応答を目にしています。このような愛を受けることは素晴らしいことです」