6月に開催された神道政治連盟国会議員懇談会の会合で配布されたLGBT(性的少数者)に関する冊子を巡り、日本キリスト教協議会(NCC)教育部と全国キリスト教学校人権教育研究協議会(全キリ)運営委員会は、差別的な内容であったとして、冊子に掲載されていた講演録の講演者である弘前学院大学の宗教主任の教授や同大学長らに対し、要望書を送付した。
NCC教育部の要望書は7月19日付。全キリ運営委は要望書(15日付)の他に、抗議声明(同)も出している。全キリ運営委の連絡先が置かれているNCC教育部が26日、ホームページにそれぞれの要望書と抗議声明を掲載した。
NCC教育部は要望書で、「同性愛は後天的な影響による性依存症である」とする見解は誤りであり、「性的少数者は、倫理・道徳の問題があり、公共の福祉に反する」とする見解も差別に当たるとして撤回を要求。性的少数者など、苦悩の中で生きざるを得ない人々に耳を傾け、寄り添って生きるよう求めている。
一方、講演者の教授が著書で、同性婚が合法化されている欧米諸国の抱える諸問題について記述していることにも言及。これらについては「今後の課題として重く受け止める必要はあります」とした。しかしそれでも、性的少数者らを断罪することには疑問を呈し、教授のトランスジェンダーに関する見識は不十分だとしている。
全キリ運営委は要望書で、講演内容は性的少数者の人権を蹂躙(じゅうりん)するもので、多様性を尊重する社会づくりに対する侮辱だとし、教授に謝罪を要求。弘前学院大学は、学生や教職員向けの文書(1日付)で、講演内容について「一切、関知及び関与もしていません」としているが、それでは済まされない問題であるとし、教授に対する厳正な処分を求めている。