沖縄戦中の「集団自決(強制集団死)」を生き残り、語り部として体験を証言してきた元沖縄キリスト教短期大学学長の金城重明(きんじょう・しげあき)牧師が19日、死去した。93歳だった。同短大を運営する沖縄キリスト教学院が22日、ホームページで発表した。
沖縄タイムスによると、19日午前10時18分、急性心不全のため、那覇市内の病院で死去。葬儀は23日、日本基督教団首里教会で関係者のみで行われた。喪主は、妻の恵美子(えみこ)さん。
1929年、沖縄本島の西約30キロに位置する渡嘉敷(とかしき)島生まれ。渡嘉敷島には45年3月27日、米軍が上陸。翌28日に住民らは集団自決を選ぶことになり、当時16歳だった金城氏も兄と共に、9歳の妹と6歳の弟、母親に手をかけた。集団自決は手りゅう弾を用いたり、力のある男性が女性や子どもに手をかけたりして行われ、約300人の命が失われたとされる。
生き残った金城氏は、家族の命を自ら奪ったことに苦しむ中、戦地から引き揚げてきたクリスチャンの男性を通して、聖書に出会う。47年、日本基督教団糸満教会の与那城勇(よなしろ・いさむ)牧師より受洗。牧師を志し、当時米軍統治下にあった沖縄から日本本土の青山学院大学に留学。55年、同大文学部キリスト教学科卒業。
糸満教会牧会(55~58年)後に渡米し、60年米ユニオン神学大学修士課程修了(神学修士)。帰国後、首里教会を牧会(60~75年)。57年に沖縄キリスト教短期大学が創設されると、定年の94年まで講師・教授(キリスト教学)として教鞭を執った。75~79年には第3代学長を務め、退職後は名誉教授。また、日本基督教団那覇中央教会を牧会し、同教会の名誉牧師となっていた。
著書に『「集団自決」を心に刻んで―沖縄キリスト者の絶望からの精神史』(高文研、1995年)など。