泥沼の様相を深めるウクライナ紛争だが、ロシアに占領された東部では、ロシアおよび親露派兵士と役人が、4つの現地プロテスタント教会に敵対的態度を取っている。彼らは不当に教会を捜索し、書類の閲覧を求め、設備や備品を盗んでいる。あるケースでは、建物から強制的に教会員を追い出した。これらの事件はすべて、6月12日から16日の間に起こったのだ。
これらの現地教会とコンタクトを持つ「殉教者の声・韓国」(VOMK)のエリック・フォーリー氏によると、教会はウクライナ政府によって承認されており、正式に登記されているのだ。ある教会は、役人らの求めに応じて登記書類を提出したところ、親露派役人がそれを取り上げてしまった。この教団のある地域の指導者は、書類の原本を提示しないよう教会員に指示を出しているという。
2014年以降、親露派が支配するドネツク州やルハンスク州の教会も、親露派政府によって同様の扱いを受けた時期があった。しかし、今回の戦闘によって事態は悪化している。数カ月にわたって抵抗が続いていた東部の都市マリウポリが激戦の末、ロシアの手によって陥落したのだが、マリウポリの中央バプテスト教会は、折からの戦闘によって建物が完全に破壊されてしまった。
しかし、教会の地下には200人ほどの避難民がおり、これらの人々を養うため、5人の教会員たちが命の危険を顧みず食料や水などの物資の調達に走り回っていた。この3月、物資の調達に向かったバンが迫撃砲の直撃を受け、乗っていた5人は帰らぬ人となった。彼らはそれぞれが妻子持ちで、危険なこの奉仕に就くにあたって自分の命すべてを主にささげると宣言しており、教会では神と人とに仕え自らの命を差し出した彼らを殉教の徒として数え、6月に厳かに葬ったのだ。
マリウポリは、最近数カ月の激しい戦闘の後、ロシアの侵略者によって陥落させられた。戦闘によって教会の建物は破壊され、地下室だけが残っている。現地の親露派役人たちは、プロテスタント教会はすべて米国人が植えたものだと考え、敵対心を隠さない。彼らはモスクワ総主教庁管下のロシア正教だけを認めているのだ。
教会堂が破壊され、敵視によって不当な扱いをされているにもかかわらず、これらロシア支配地域の教会は祈り続け、隣人に仕えている。彼らの忠実さの故に神をたたえよう。遺された家族と関係者の慰めとともに、この地の宣教が前進するよう祈っていただきたい。
■ ウクライナの宗教人口
正教 61・2%
プロテスタント 5・8%
カトリック 10・1%
無神論 19・5%