ユリ・ロペスは、彼女が2歳のとき、両親と、双子を含む兄弟ら家族から引き離されてしまい、それ以来彼女は14もの孤児院を転々とし、十分な食事はおろか、電気や水道さえもない暮らしを強いられた。
もちろん、クリスマスプレゼントなど、夢にも見たことがない彼女だったが、6歳のその年は違っていた。緑と赤で彩られた靴箱の贈り物が彼女に届けられたのだ。
これは、米宣教団体サマリタンズ・パースのプロジェクト「オペレーション・クリスマス・チャイルド」(OCC)で、1990年の最初のOCC以来、毎年クリスマスに学用品やおもちゃなどがぎっしり詰まった靴箱を、世界中の恵まれない孤児たちに贈り、神の愛を具体的に現しているのだ。
ホンジュラスのOCC活動によって靴箱をもらったユリは声を上げて喜び、何カ月もの間、それを抱いて寝るほどだった。それは、彼女にとって初めてのクリスマスギフトだっただけではなく「これは私のものよ!」と言える人生で初めての所有物だったからだ。
しかし、ユリにとって靴箱がさらに特別なものとなったのは、箱の中にギフトを詰めてくれた女の子の写真と彼女の手書きのメッセージが添えてあったからだ。孤児のユリにとっては、写真の女の子が自分の家族のように思えたので、ユリはその写真とメモを箱の中に入れ、ずっと大切にしまっておいたのだ。
このメモには「イエス様は、あなたのことが大好きよ。私もあなたが大好き」と書かれてあった。
さて、多感な少女のユリには厳しい孤児院生活は決して優しいものではなかったが、教育の機会がなんとか確保されていたのは幸運だった。勉強好きのユリには、それが心の支えだったのだ。
しかし13歳のある日、孤児院の財政的な理由で、ユリは学校を辞めさせられてしまった。学校を辞め、厨房に配属された彼女は、毎日120人分の孤児の食事を作ることになった。
厨房の勤めが非番だったある日曜日、ユリは込み上げる絶望と怒りを胸に、靴箱を持って山へ出掛けた。「私の人生は、一生このまま料理をするだけで終わるんだわ!」と思い、完全に打ちひしがれていた彼女は、その絶望の谷間で祈って言った。「神様、もしあなたがいるのなら、それを見せてください。私には分かりません。あなたがいるのなら、私に分かるようにしてください」。これは彼女の心の叫びだった。
人生の不条理に対する少女の怒りと失望は、究極的には、主権者たる神に向けられたものだったのだ。ユリはこの時、自分が靴箱を持ってきていたことを思い出し、靴箱を開いた。
最初に目に入ったのが、ギフトを詰めた女の子の写真と、彼女のメモ書きだった。そこには「Jesus Loves You, And I Love You Too.」と書いてあった。それは紛れもなく、悩める少女に対する主イエスの優しい語り掛けだった。彼女はこの時のことを振り返り、「私が苦しみや痛みの真ん中にいたときや、自分が孤児なので、神は遠くにいると感じていたときにおいてさえも、主はいつもそこにいたのです」と涙ながらに語った。
ユリはその日、神の愛を受け入れ、主イエスを救い主として受け入れたのだ。もちろんその後、一足飛びにすべてがうまくいったわけではないが、ユリは将来と希望、平安を与える神の計画が、自分にもあることを信じたのだ。
2005年、神は彼女のために道を開き、ユリは米国テネシー州の里親に引き取られた。サッカーの才能に富む彼女は、奨学金で進学し、今では少年少女らにサッカーを教えるコーチとなったのだ。もちろん、彼女の目的は、サッカーを通じて彼女の救い主を生徒たちに紹介することだ。
ユリは、毎年クリスマスが近づくと、彼女自身もあの靴箱の中で出会った救い主の愛を届けるべく、生徒たちと共に幾つもの靴箱にギフトを詰め込む作業に汗をかく。もちろん、愛と祈りを込めたメッセージカードを忘れない。
たった1つのギフト、たった1枚のカードが、私たちの救い主に人々を出会わせ、1人の人生を劇的に変えてしまうことさえあるのだ。
希望の原石そのものである子どもたちへの靴箱の贈り物は、主イエスにある神の愛と共に、今も届けられている。OCCの尊い働きのために祈ろう。
またこの時、世界中の人々と共に、人として生まれたもう神の子を祝い、父なる神に感謝と賛美をささげようではないか。
■ ホンジュラスの宗教人口
カトリック 72・8%
プロテスタント 25・4%
イスラム 1・2%