「イエスは彼に言われた。『わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれも父のみもとに行くことはできません』」(ヨハネ14:6)
大富豪のご夫妻が結婚30周年の記念パーティーを開きました。集まった人々を前に夫がスピーチをしました。
「私はこの妻と結婚した結果、資産は100億ほどになりました」。すると集まった人々は立ち上がり、妻の内助の功をたたえて拍手を贈りました。
すると夫は一瞬戸惑いの表情を見せて、言葉を続けました。「しかし、私はこの妻と結婚する前には、今の3倍は資産を持っていました」
つまり、夫は妻の浪費癖のために自分の資産が大幅に減ってしまったと言いたかったのです。人の話は最後までよく聞かないと分からないものです。
聖書にイエス・キリストの言葉を最後まで聞かずに早とちりしてしまい誤解したり、反発したりする人が登場します。イエスの弟子の一人のヨハネは、自分が「ヨハネの福音書」を書いた目的について次のように記しています。
「これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることをあなたがたが信じるためであり、また信じて、イエスの名によっていのちを得るためである」(ヨハネ20:31)
つまりイエス・キリストの言葉は、それを聞く人々が「イエスが自分の救い主であると信じていのちを得るため」というゴールに導くものです。このゴールに向かわないような聞き方は間違った聞き方をしていることになります。それは本当に残念なことです。目的地への地図を手にしているのに目的地にたどり着かない旅人のようです。もし自分がこの道から外れていると気付いたなら、いつでも正しい道に戻ることができるのです。
1788年、米国のマサチューセッツ州プリマスの牧師の長男として、アドニラム・ジャドソンは生まれました。彼は3歳で本が読めるようになり、12歳でギリシャ語の翻訳ができ、16歳で名門ブラウン大学に入学し、19歳で首席で卒業しました。彼は学生時代にジェイコブ・イームズという同級生に出会い、イームズの無神論的宗教観に影響を受け、両親から受け継いだイエス・キリストへの信仰を捨ててしまいました。
大学を卒業後、彼は俳優か作家になる夢を持ってニューヨークに出て行きました。しかし、彼はその夢に挫折して、マサチューセッツ州プリマスにある実家に帰ります。その途中、小さな宿家で一夜を明かします。ジャドソンは一睡もできませんでした。というのは、彼の隣の部屋の宿泊者が一晩中、苦しそうにうめき続けたからです。翌日、そのことを宿屋の主人に尋ねました。
「隣の部屋のご老人は、どうされたのですか?」主人は言いました。「今朝早く亡くなりました。しかしご老人ではなく、あなたと同じくらいの年頃の若い方です」。「その方の名前は何ですか」。「ジェイコブ・イーブスさんといいます」
ジャドソンは、その名前を聞いてブルブル震えました。神を否定した人生の結末をハッキリ見たのです。無神論はそれを信じる人に何も与えないことを悟りました。ジャドソンは悔い改めてイエス・キリストを信じる信仰を回復し、やがてビルマ(現ミャンマー)への宣教師となりました。聖書をビルマ語に翻訳して幾つもの教会を設立し、40年ビルマで神に仕え、大きな業績を残したのです。
◇