毎年10月は、カトリック教会の世界宣教月間となっており、その終わりから2番目の日曜日(今年は10月24日)は「世界宣教の日」となる。
これに先立ちバチカンは、教会教勢の調査発表をした。昨年はパンデミックにより同調査発表が1年間中断されたが、バチカン通信社フィデスが10月21日に発表したところによると、世界のカトリック教会全体の信者数は、2018年から19年にかけて1500万人以上増加したという。この増加は、信徒数が30万人近く減少した欧州を除く、すべての大陸で確認された。
19年の世界人口に占めるカトリック教徒の割合は17・7パーセントとなる。主にアフリカ、アジアでの信徒数増加が著しかった一方、歴史的な教会拠点である欧州は、唯一信者数が減少しており、もはや “宣教対象地域” に転落してしまったわけである。
司祭の数は全体的に増加しているが、やはり欧州では一貫して減少した。修道士数は、アフリカを唯一の例外として、7年連続すべての地域で減少している。修道女は最も減っており、1万1562人の減少だった。
聖職者の数は世界的に急減したが、信徒宣教師の数は、特にアメリカ大陸とアフリカ大陸で大幅に増加し、アジアではわずかな減少にとどまった。
この調査は、2019年12月31日までのデータで、コロナ禍にあった2020年とは数字が大幅に変わる可能性があるものの、総じて次の2つの傾向が顕著だった。
「欧州の脱キリスト教化」が拡大している一方で、宣教の軸足が信徒中心になりつつある「脱専門者」傾向の2点だ。今回の調査はカトリック教会の指標だが、プロテスタントも含めて世界宣教の戦略上の参考にはなるだろう。
今後の宣教において浮かび上がる方向性は、教会全体の中の “個” の主体性、使命、賜物の重要性だろう。教会の一人一人が、頭であるキリストの “同じ体の部分” としてその賜物を十分発揮し、新生した聖書的な信者を通して世界宣教が前進するように祈っていただきたい。
■ バチカン市国の宗教人口
定住 819人
カトリック 100%