バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省が管轄するフィデス通信は10月21日、カトリック教会の最新統計(英語)を発表した。それによると、2019年末日時点の世界のカトリック人口は13億4440万3千人で、前年比1541万人増だった。地域別では減少したのは欧州のみで、他の地域ではすべて増加した。
フィデス通信による統計の発表は、カトリック教会の「世界宣教の日」(同24日)を前に毎年この時期に行われている。2019年末日時点の世界人口は、前年から8138万3千人増加し、75億7777万7千人。世界人口に占めるカトリック信者の割合は17・74パーセントで、前年に比べ大きく変わらなかった。
地域別では、アフリカのカトリック人口が前年比830万2千人増で最も増加しており、その後に南北アメリカ(537万3千人増)、アジア(190万9千人増)、オセアニア(11万8千人増)が続いた。一方、欧州は、地域人口は前年比で15万7千人増えたものの、カトリック人口は29万2千人減少した。
司教の数は、前年比13人減の5364人。司祭の数は、前年比271人増の41万4336人。司祭は、欧州、南北アメリカ、オセアニアの地域ではそれぞれ2608人、690人、69人減ったが、アフリカとアジアではそれぞれ1649人、1989人増加したため、全体では増加に転じた。
修道士の数は7年連続の減少で、前年比646人減の5万295人。修道女の数も1万1562人減少し、63万99人となった。
大神学校の神学生は、前年は増加したもの今回は減少に転じ、1822人減の11万4058人。アフリカ以外の地域はすべて減少した。小神学校の神学生は4年連続の減少となり、前年比3174人減の96万990人。オセアニアが22人増とわずかに増加したものの、それ以外の地域はすべて減少した。
米宗教専門のRNS通信(英語)によると、福音宣教省の教皇庁宣教事業委員長を務めるジョバンニ・ピエトロ・ダル・トーゾ大司教は記者会見で、世界の「脱キリスト教化は明らか」と認めながらも、欧州を含め、水面下では新しい活発なキリスト教共同体が成長しつつあると指摘。今後は、信者がカトリックの教義をよりよく理解するのを助けるために、「キリスト教を形成するためのコースを実施することが必要だと思う」と述べた。
福音宣教省長官のルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は、信者一人一人が「思いやりと希望に満ちあふれた宣教師」になるよう奨励。カトリック信者が少数派のアジアに住んでいた経験に触れ、「信仰を自分の中にとどめておくと弱くなり、小さなグループにとどめておくとエリート集団になってしまいかねない」と警告。信者や宣教師は「すべての国、また地理的、実存的空間に届く」よう呼び掛けられていると語った。