米国聖公会の一部の教区が、職員や聖職者に対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けることを発表した。
ニューヨーク州のロングアイランド教区では、ローレンス・C・プロベンツァーノ主教が8月26日、ワクチン接種義務化に関する文書(英語)を発表。教区内のすべての職員と聖職者が9月15日までにワクチンを接種しなければならないことを説明した。健康上の理由で接種できない場合は免除されるものの、「屋内における集会、会議、礼拝の際にはすべてマスクを着用し、10日ごとに検査を受けることに同意しなければなりません」としている。
「私たちの聖ヨハネ聖公会病院は、教区の全職員と全聖職者にファイザー社製のワクチンを提供することに同意しました。これは、教区事務所が連携して行うもので、教区事務所は教区の最高医学責任者と協力し同病院におけるワクチン接種の管理を行います」
プロベンザーノ主教は、「できるだけ早くワクチンを接種し、周りの人にも同じことをするように勧めてください」と呼び掛け、次のように訴えている。
「兄弟姉妹の皆さん、誰もこの世界に今日存在する途方もない苦悩を長引かせようとはしていません。この1年半の混乱の中で、人生をより複雑にしようとする人はいません。私たち一人一人がキリストの体の一員として、この危機を終わらせるために自分の役割を果たさなければなりません」
メイン州全域を管轄するメイン教区のトーマス・J・ブラウン主教は声明(英語)で、「医師の指示がない限り、すべての聖職者と職員は新型コロナウイルスのワクチン接種を受けるように」と指示した。
「この指示は、すべての人の中にキリストを求めて仕え、隣人を愛し、すべての人間の尊厳を尊重することを約束する、私たちの洗礼の誓約に基づいています」とブラウン主教。「私たちがこのようなことをするのは、決して強引だからではなく、新型コロナウイルスのパンデミックを抑えるためには、ワクチン接種が最善の手段だからです」と強調した。
カリフォルニア州サンフランシスコにある著名な米国聖公会の大聖堂であるグレース大聖堂は8月末から、礼拝に参加する場合、ワクチン接種証明書の提示を必須とした。ホームページ(英語)では、「8月24日より、12歳以上の方にはワクチン接種の証明書が必要となります」と告知し、「ワクチン接種カードの画像をアップロードして入力するための、高度なワクチン接種証明フォームを導入しました」と伝えている。
AP通信(英語)の分析によると、5月に米国で報告された新型コロナウイルスによる死者1万8千人のうち、約99・8%がワクチンを十分に接種していない人たちだった。また、AP通信が政府のデータを分析した結果、5月に米国で発生した入院を伴う新型コロナウイルスの症例約10万7千件のうち、完全にワクチンを接種した人の割合は約1・1%であることが分かっている。