国連の掲げる「持続可能な開発目標」(SDGs)に、18番目の目標として「生まれる前から子どもを守ろう(LIFE UNBORN)」の追加を訴えるデモ行進「マーチフォーライフ(March for Life)」(同実行委員会主催)が22日、東京・日本橋の常盤公園を出発点に行われた。約70人が集まり、日比谷公園までの約1時間の道のりを「中絶やめよう」「小さないのちを守ろう」と書かれたプラカードを手に練り歩いた。
1984年の発足以来、望まない妊娠に思い悩む人々に寄り添いながら、キリスト教精神に基づいてプロライフ(中絶反対)を訴えてきた「小さないのちを守る会」前代表の辻岡健象牧師らクリスチャンの有志が呼び掛け人となり、7年前から始まった。1948年7月13日に現在の母体保護法の前身である優生保護法が成立したことを覚え、中絶反対を訴えるデモとして毎年この時期に行ってきた。呼び掛け人の池田正昭さんは、「今年はコロナのことに加えてオリンピックもあったので、途絶えることなく行進できたことが何よりの成果」と開催を喜んだ。
昨年からは特に、国連に対するアピールに重点を置いている。「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を実現させるためには、自ら声を上げることのできない「生まれる前の子ども」が、決して取り残されてはならないと考えるからだ。今年は中絶の問題に加え、体外受精などの生殖補助医療で生じる余剰胚の問題にも焦点を当て、目標の具体的なターゲットとして以下の5つを提示した。
- 妊娠中絶の原因となる貧困をなくそう。
- 子どもの障がいを理由に妊娠中絶を認める胎児条項を撤廃する。
- 胎児の母体外生存可能性が期待できる妊娠週数を過ぎた妊娠中絶は認めない。
- 生殖補助技術の発展によって生み出される余剰胚の廃棄ゼロを目指す。
- 自然妊娠・自然出産の人類としての価値を次世代に継承する。
池田さんは、「日本はこの2、30年の間に世界から群を抜いて体外受精大国になりました。生まれる前の子どもだけでなく、お腹に入る前の胚というところからみんなで考えたいという投げ掛けを日本のマーチフォーライフから始めようということで、今日はそのための貴重な一歩になりました」と話した。