神戸国際支縁機構の岩村義雄理事長(神戸国際キリスト教会牧師)と村上裕隆代表ら3人が4日、大規模な土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山を訪れ、支援物資を届けるなどした。発生から2日たった5日も捜索活動が続けられており、この日の捜索活動が終わった同日午後6時時点で4人の死亡が確認されたが、依然64人の安否が分かっていない。
岩村氏らは4日、賀川豊彦が設立に携わった生活協同組合「コープこうべ」や、社会福祉のパイオニア・今井鎮雄が精魂傾けた神戸の社会福祉協議会、フードバンクなどから提供された支援物資や救援金を携え、熱海市役所の齋藤栄市長を訪問。鈴木英明室長から被災状況を聞くなどした。約560人が避難所に指定された市内2カ所のホテルに避難しており、避難者は「川のない山から土石流が押し寄せ、近所の家屋も流された」と恐怖の体験を語っていたという。
ホテルでの避難は、寝具や食事、各種サービスが整っており、学校の体育館などが避難所になる場合にはない配慮が行き届いている。費用は市が負担するため、コロナ禍で打撃を受けているホテル側にとってもメリットがあり、岩村氏は「災害大国の被災者対応の在り方としては願わしい」と話す。
その一方で、岩村氏は「災害原因を調査する研究者は、被災地の声を吸い上げるようになってもらいたい」と話す。「御用学者はいろいろな利権に絡んでおり、国に不利にならないように話す。そうした彼らの政府の政策を代弁したような報告をメディアが取り上げることで、市民の願いとは逆の方向に動いてしまう」と指摘する。
神戸国際支縁機構は6月20日から24日まで、1年前の熊本豪雨で氾濫した球磨(くま)川の16回目となる被災地ボランティアで熊本県相良(さがら)村を訪れたばかり。熱海市役所を訪れたちょうど1年前の昨年7月4日は、熊本豪雨のボランティアで熊本県の芦北町役場を訪問し、地図を広げて被災状況を教えてもらっていた。岩村氏は「自然が損なわれることがない日本の原風景を取り戻すために、被災地、孤児、またシングルマザーと共生しつつ、引き続き活動していきたい」と話した。