ミャンマーで国軍によるクーデターが発生してから4カ月がたった1日、日本の文化人やジャーナリスト、学者、弁護士、宗教者ら60人以上が賛同して、緊急共同声明「ミャンマーの人びとに寄りそう」を発表した。声明には、日本キリスト教協議会(NCC)の総幹事やカトリック教会の司教ら、キリスト者も賛同者として名を連ねている。
声明は、音楽家の坂本龍一さんや作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん、ジャーナリストの津田大介さん、また国軍に約1カ月間拘束されていた元日本経済新聞記者でジャーナリストの北角裕樹さんら計67人が賛同している。キリスト者では、NCC総幹事の金性済(キム・ソンジェ)牧師やNCC東アジアの和解と平和委員会委員長の飯塚拓也牧師、カトリック教会の勝谷太治司教(札幌教区、日本カトリック正義と平和協議会会長・責任司教)、ウェイン・バーント司教(那覇教区、同担当司教)、マイノリティ宣教センターの渡邊さゆり共同主事、平和を実現するキリスト者ネット代表の平良愛香牧師ら、約10人が賛同。仏教者も20人近くが名を連ねている(いずれも1日時点)。
声明は、「クーデタから4カ月を過ぎた今も、銃撃や空爆が毎日のように続き、市民の犠牲はますます増えています。そして国軍は、報道や通信をも徹底的に封殺しています」と、依然として厳しいミャンマー情勢に言及。欧米のように制裁を発動していない日本政府の姿勢が国軍に間違えたシグナルを与えるのではないかと危惧を示した上で、日本の一般市民が支援の声を挙げ、関心を示すことで、ミャンマー市民が励まされ、日本の政府や企業を動かすことにつながるとしている。
その上で、政治的な責任のある立場の人々に対し、具体的に4項目を求めている(以下は概要)。
- 先進国で国軍との「特別なパイプ」を持っているのは日本だけ。菅内閣や外務省、財務省は、自らの判断や行動がミャンマー市民の生命と人権、希望の行方に直結していることを自覚し、国軍の蛮行をやめさせ、ミャンマーが民主主義を回復できるような支援策を直ちに講じることを求める。
- ミャンマーとの関係を民間レベルで構築してきた日本ミャンマー協会は、即座に暴力を停止し、民主化を崩壊させないよう、政府に働き掛けるよう求める。同協会の役員は、ミャンマーに進出している大手企業関係者や有力な国会議員で構成されており、大きな影響力があるはず。
- 国軍は「不正選挙」をクーデタの理由としているが、日本は笹川陽平・ミャンマー国民和解担当日本政府代表を団長とする選挙監視団を派遣し、二重投票を防止するための特殊インクを供与するなどした。政府は、選挙が自由かつ公正に実施されたことを国軍と国際社会に強く伝え、アウン・サン・スー・チー氏らの解放を要求するよう求める。
- 超党派の「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」が3月と5月に発表した共同声明における活動目標と要請は全面的に賛同できる。政府がこの要請に応え、早急に実行するようにさらに強く働き掛けるよう求める。
声明は、「ミャンマーの人々を応援する有志の会」のサイトで日本語の他、ミャンマー語と英語でも公開されている。