キリスト教迫害監視団体「オープンドアーズ」(英語)によると、インドネシア中部で11日、キリスト教徒の男性4人が斬首されるテロ事件が発生した。
事件が起きたのは中部スラウェシ州ポソ県カリマゴ村。過激派組織「イスラム国」(IS)と関係があるとされるインドネシアのテロ組織「東インドネシアのムジャヒディン」(MIT)の犯行とされている。
犠牲者のうち2人はママサトラジャ教会のメンバーだった。別の1人はトラジャ教会のメンバーで、残り1人は同じ地域のカトリック教会から来ていた。犠牲者の年齢は42歳から61歳とされている。
同州シギでは半年前、救世軍の施設でキリスト教徒4人が殺害される事件が発生している(関連記事:インドネシア救世軍の関係者4人殺害、イスラム過激派の犯行か)。オープンドアーズ・インドネシアの現地パートナー、アリ・ハートノ氏(仮名)は次のように話す。
「中部スラウェシ州の人々は昨年11月にシギで起きたテロ事件のトラウマを抱えており、まだ回復していません。犠牲者たちはキリスト教徒ですが、宗教的な動機による事件かどうかは不明です。(テロリストたちが)生き残るために起こした犯行かもしれません。シギの事件以降、警察や軍は中部スラウェシ州のテロリストに対する警戒を強めています。テロリストたちの物流システムはボロボロです。生き残るためには他者から食料を奪うしかありません。この地域では村から遠く離れた森の中に住む農民が多く、彼らがテロリストに狙われたのです」
オープンドアーズは、キリスト教徒に対する迫害が厳しい50カ国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト」を毎年発表しており、インドネシアは現在47位にランクされている。
アリ氏は、この地域に神の平和がもたらされるよう世界中のキリスト教徒に祈りを求めている。
「恐怖と脅迫が人々の心を支配しようとしていますが、神の力はもっと偉大です。ポソと中部スラウェシ州の主の民が守られるようお祈りください。テロリストたちが捕まらない限り、脅威が続くからです。人々は畑に行くことを恐れているため、働くことも作物を作ることもできません。これでは経済状況に影響してしまいます。マダゴラヤ機動部隊(警察と軍による対MIT共同部隊)がこのテロリストグループを追っています。彼らが守られ、使命を果たす力と知恵が与えられ、容疑者たちを捕らえることができるようお祈りください」
世界最大のイスラム教国であるインドネシアの一部地域では近年、キリスト教徒を狙ったテロ事件が発生している。
南スラウェシ州マカッサルでは3月下旬、イースター(復活祭)1週間前の日曜日にカトリック教会を狙った自爆テロ事件があり、ミサを終えたカトリック信者20人が負傷した(関連記事:インドネシアの教会近くで爆発、14人負傷 パームサンデー狙った自爆テロか)。また、東ジャワ州スラバヤでは2018年、教会を狙った自爆テロがあり、数十人が死亡している。