インドネシア中部スラウェシ島南部の都市マカッサルで28日、カトリック教会を狙った自爆テロとみられる爆発があった。オートバイに乗った2人組が教会の敷地内に入ろうとしたところを阻止され、教会近くで爆発。警備員や教会関係者ら少なくとも14人が負傷した。この日は、キリスト教最大の祭日であるイースター(復活祭)1週間前のパームサンデー(枝の主日)と呼ばれる日曜日で、多くの人がミサをささげに教会を訪れていた。
AP通信(英語)や現地メディア「ジャカルタ・グローブ」(英語)によると、爆発は現地時間28日午前10時28分(日本時間午後0時28分)ごろ、マカッサルにあるカトリック教会「イエスの聖心大聖堂」の正門前で発生した。大聖堂のウィヘルムス・トゥラック司祭によると、爆発はこの日行われた2回目のミサの直後にあり、午前11時からは3回目のミサが予定されていた。2回目のミサ参加者と、3回目のミサ参加者が出入りする中で起こったという。
教会の警備員が、オートバイに乗った男2人を不審に思い入場を阻止したところ、1人が爆発物を爆発させた。自爆した1人は死亡し、現場からは男のものとみられる人体の一部が見つかった。別の1人も死亡したかどうかは不明。死亡した男の身元はまだ確認が取れていないという。
警察の発表によると、この爆発により警備員4人と教会の関係者ら、これまでに少なくとも14人の負傷が確認されている。
英公共放送「BBC」(英語)によると、インドネシア教会共同体(PGI)のゴマー・グルトム総幹事は事件を受け、キリスト教の祭日であるパームサンデーを狙った犯行は「残酷」なものだと非難するとともに、地元のキリスト教徒に対しては、冷静さを保ち、当局の捜査に信頼を置くよう求めた。
インドネシアは特定の宗教を国教としない世俗国家ではあるものの、約2億6700万人の人口のうち9割近くをイスラム教徒が占め、信者数では世界最大のイスラム教国家。2002年には観光地であるバリ島でイスラム過激派による爆弾テロが発生し、外国人観光客を中心に202人が死亡する事件が発生している。今回の爆発に関しては、これまでのところ関与を表明しているイスラム過激派組織はない。