日本カトリック正義と平和協議会(正平協)は7日、2000年12月に東京で開催された「女性国際戦犯法廷」20周年に当たっての声明文(昨年12月12日付)をカトリック中央協議会のホームページで公開した。政府に対し、日本軍慰安婦制度が「本質的に国家が認めた強かんと奴隷化」であったと認めることなどを求めた。
声明は、MeToo運動やカトリック教会内の聖職者による性暴力被害の隠蔽問題について、日本軍慰安婦制度が処罰されてこなかったことと「同一線上にある」と主張。「性暴力被害とはいかなるものであるのか、その暴力の実態とこれを可能にし、かつその隠蔽を可能にしてきた背景について、いまだ正しく認識され、対処されているとはいえず、ジェンダー正義は実現していません」とした。
慰安婦問題については、「解決はおろか、今ではこの問題に触れることすら、日韓関係を悪化させる要因であるかのように、日本社会の一部では考えられているようです」と指摘。「日本政府が取るべき態度は、事実を隠蔽したり、『済んだことだ』と忘却したりすることではなく、むしろ、この負の歴史の継承を恐れないこと」と訴えた。
その上で政府に対し、▽日本軍慰安婦制度が「本質的に国家が認めた強かんと奴隷化」であったと認めること、▽日韓合同宣言には、被害当事者の声が不在であり、被害者と直接向き合い、被害者が望む形で謝罪し、被害者が望む形で賠償を行うこと、▽慰安婦制度のようなことが二度と再び起きないように、日本軍慰安婦制度を歴史の中に位置付け、この記憶を継承するために尽力すること、「平和の少女像」の撤去のために他国やその自治体に介入しないことを求めた。
「女性国際戦犯法廷」は、日本の慰安婦問題の責任を追求するため、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(現「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター)が主体となって開かれた民衆法廷。「判決」では、慰安婦制度は人道の罪であり「本質的に国家が認めた強かんと奴隷化」であったとし、昭和天皇と9人の日本軍関係者に「有罪判決」が下された。
日本政府に対しては、被害者への賠償責任を認め、さらに関係資料の保存と公開、教科書への記述、ジェンダー教育の実施などの勧告を行った。旧連合国に対しても、慰安婦制度の事実を知っていながら東京裁判で処罰の対象としなかったことにジェンダーの偏りがあったこと、戦後も捜査や訴追をしなかったことの誤りを認めるよう勧告した。