現教皇フランシスコの出身国でもある南米のカトリック国アルゼンチンだが12月11日、アルゼンチン議会下院で人工妊娠中絶合法化法案が賛成131、反対117、棄権6で可決された。
アルゼンチンでは、従来から性暴力の被害による妊娠や母体に危険が及ぶ妊娠に限り中絶が認められていたが、この法案では、当事者の意思により14週目までの人工妊娠中絶が合法とされ、しかもすべて国費負担で無償となっている。
11日、国会前に集まっていた中絶支持者らに下院通過の知らせが届くと、大きな歓声が上がり、飛び跳ねて喜ぶ者や泣いて抱き合う者まであった。この様子に対して、プロライフ(反中絶)団体「ライブアクション」の創設者で代表者であるリラ・ローズ氏は次のようにツイートした。
「うそと混乱と殺人の創始者であるサタンは実在する。完全な錯誤、まさに一人の人間そのものである私たちの未来である『子どもたち』をバラバラにして虐殺することを喜び祝うことなど、これはサタニックだとしか言いようがない」
聖書はあらゆる箇所で、胎児を神聖にして不可侵な完全な一人の人格として認めている。中絶推進運動は、女性の権利運動と強く結びついており、彼らは弱者である女性の権利を主張するが、この議論で決定的に欠落しているのが、最も弱者である胎児の「生存の権利」だ。胎児は自分の権利を主張することも弁護することもできない。
これら声なき胎児の代弁をするキリスト者の働きは甚だ重要だといえよう。猛威を振るう世俗の風に流されず、アルゼンチンの兄弟姉妹が奮闘し伝道に励み、生まれるべき小さな命が守られるように祈ろう。
■ アルゼンチンの宗教人口
カトリック 87・0%
プロテスタント 11・9%