福音派の中でも影響力の大きい米大衆伝道者のフランクリン・グラハム氏が連日、米大統領選に関して、自分の立場や考えを語り、反響を呼んでいる。
11月の大統領選で選ばれた各州の選挙人による投票が行われ、ジョー・バイデン氏が現職のドナルド・トランプ氏を押さえ、過半数を獲得した翌15日、グラハム氏はフェイスブックの投稿(英語)で次のように述べた。
「今回の選挙に失望しているのかと聞かれました。私の答えを考えるとき、感謝していると正直に言うしかありません。過去4年間、私たちの信教の自由を守ってくれた大統領を与えてくれた神に感謝しています。胎児の命を守った大統領に感謝します。彼は公然と中絶に立ち向かいました。それによってこの国で引き起こされた血まみれの中傷にも立ち向かいました。最高裁判所と(各州の)連邦裁判所に保守的な判事を指名してくれた大統領に感謝します。パンデミックの前にここ50年間で最低の失業率を達成し、ここ70年間で最も強い経済を築いてくれた大統領に感謝します。軍隊を強化し、支援してくれた大統領に感謝します。『汚泥』(既得権益層や汚職の意、トランプ氏がスローガンとしていた言葉の一部)と首都ワシントンの腐敗に対して立ち向かってくれた大統領に感謝します。法と秩序を支持し、われわれの警察を守ってくれた大統領に感謝します。祈りの重要性を認識し、イエス・キリストの名を恥じない大統領と副大統領に感謝します。クリスマスからキリストを取り除こうとする世俗主義者に立ち向かい、『メリークリスマス!』というあいさつを復活させた大統領に感謝しています」
「ですから、この選挙シーズンの終わりに向かいつつある今、これらのことを神に感謝し、振り返っています。多くの人が混乱し、候補者の政策よりも人格を重視した選挙になってしまったのは残念なことです。トランプ大統領は、ここ米国と世界中の何百万人もの人々に平和と繁栄をもたらした偉大な大統領の一人として歴史に名を残すでしょう。神が彼の人生の次の章へと彼を導いてくださいますように、彼とメラニア夫人、そして彼らの家族に祝福がありますように」
この投稿は11万回共有され、32万件もの反応を呼んだ。またコメントも、賛否を含めさまざまなものが6万6千件余り寄せられた。
一方、17日の投稿(英語)では、バイデン氏のために祈るよう呼び掛けた。これにも4万7千件余りのコメントが寄せられたが、共に祈ろうと応じるものもあれば、バイデン氏を次期大統領とは認めないとする主張も多く見られた。これを受け、18日の投稿(英語)では次のように語った。
「皆さんのうちの多くが、バイデン氏のために祈るようクリスチャンに呼び掛けた私の昨日の投稿を心配してコメントを寄せてくださいました。ある人々は、私がトランプ大統領を支持していないことや、諦めたことを意味していると考えたのでした。それはまったく正しくありません。トランプ大統領はまだまだ私たちの大統領です。そして、彼はまだ、私の全力の支持と祈りを受けています。選挙人による投票が終わった後、その進展を踏まえ、私は単純にバイデン氏を私たちの祈りの題目の中の高い位置に置く必要があると、皆さんに呼び掛けるのが重要だと感じただけです」
この投稿には5万6千件余りのコメントが寄せられ、同意を示すものが多くあった。
19日の投稿(英語)では、主要メディアと民主党陣営の偏向性について述べ、次のようにつづった。
「トランプ氏は2016年、政府が彼に対して諜報活動していると、米国民に述べました。メディアは、彼がパラノイド(偏執症)だと言いました。オバマ政権と民主党はこれを真っ赤なうそだと言い、トランプ氏は大統領にふさわしくないと述べましたが、結局のところ、その後政府がトランプ氏に対して諜報活動をしていたことが明らかになり、彼の言ったことは実際には真実でした。そして次の2年間、私たちは大統領のロシアとの共謀に関する調査に付き合わされました。大統領はロシアとの共謀は存在しないと述べました。しかし、毎晩、毎晩、メディアと民主党は共謀があったと言いました。ロバート・モラー特別検察官による調査がなされた後、それは事実でないと判明しました。共謀はなかったのです。トランプ大統領はまたしても正しかったのでした」
「そして、民主党は電話会談のことで大統領を弾劾しました。大統領は中傷され、冤罪を被せられ、2016年の選挙以前からずっと、すべての面において攻撃され続けました。この選挙が不正に仕組まれた、もしくは盗まれたとトランプ大統領が言うとき、私はどちらかというと、彼を信じます。大統領にはこれまで正しかったという実績があり、それらは厳密な記録として残っています。トランプ大統領のために祈ってください。バイデン氏のために祈ってください。私たちの国のために祈ってください。私たちがこれを乗り越えるように。そして、神様の御心がなされますように」
この投稿は4万7千回共有され、2万9千件余りのコメントが寄せられ、称賛する声も多かった。しかし、フェイスブックは米超党派政策センターの情報を基に、「郵便投票および投票所での投票は、どちらも米国の歴史を通じて高い信頼性が確認されています。いずれの投票方法でも、不正投票は極めてまれにしか起こりません」というメッセージを表示した。
選挙の正当性について、グラハム氏は22日の投稿(英語)でさまざまな具体例を挙げつつ、バイデン氏の勝利を認めないと主張する元米下院議長のニュート・ギングリッチ氏の記事「なぜ私は諦めないのか」(英語)を紹介。「ニュート氏を何年も前から知っています。彼は歴史について素晴らしい理解を持ち合わせています。この記事の中で彼は、私たちが今日、政治的にどこにいるのかについて彼の展望を分かち合っており、私は皆さんがこれを読まなければならないと思いました」と述べた。この投稿は9千回共有され、寄せられた6千個以上のコメントには、祈りを呼び掛けるものや、ニュート氏の記事に賛同するものが多く見られた。
グラハム氏は、フェイスブックやツイッター(いずれも英語)など、SNSを積極的に用いて情報発信している。SNSには、自身が代表を務める福音派の国際支援団体「サマリタンズ・パース」の活動や、父で世界的な大衆伝道者であったビリー・グラハム氏の生前の説教動画や聖書の引用、さまざまな祈りの呼び掛けなどを投稿している。フォロワー数は非常に多く、フェイスブックは900万、ツイッターは240万を超える。