これまでプロテスタントの長老派だと語っていた米国のドナルド・トランプ大統領が、現在は自身を「無教派のクリスチャン」と認識していると語った。
トランプ氏は23日、米宗教専門のRNS通信(英語)の取材に書面で回答。自分自身も、支持基盤とされる福音派のクリスチャンとして認識しているかを尋ねる質問に、「私は子どものとき、長老派の教会で堅信礼を受けたが、今は無教派のクリスチャンだと認識している」と答えた。
無教派(nondenominational)とは、特定の教派や教団に属さないことを意味し、米最大のプロテスタント教会であるレイクウッド教会など、無教派の大型教会も多くある。また福音派も特定の教派ではなく、聖書に忠実な信仰を持つ保守的なプロテスタントの総称。米ピュー研究所の調査(英語)によると、2014年時点で無教派のクリスチャンは米国の人口の6・2パーセントを占め、福音派または福音派の伝統に従う無教派のクリスチャンは人口の2・6パーセントとされている。
長老派は16世紀の宗教改革者ジャン・カルヴァンの流れをくむプロテスタントの教派で、米国では人口の2・2パーセントを占める。一方、米最大の長老派教団であるアメリカ合衆国長老教会(PCUSA)はリベラルだが、米国第2の長老派教団であるアメリカ長老教会(PCA)は保守色が強いなど、同じ長老派でも立場は異なる。
RNS通信の質問は、信仰に関する事柄を中心に全部で5つ。質問と回答は26日、ホワイトハウスのホームページ(英語)にも掲載された。
トランプ氏はその中で、「私はニューヨークで家族と共に教会に通いながら育った。両親は幼い頃から信仰と祈りの大切さを教えてくれた」と述べ、取材を受ける前の週末には、ラスベガスにある無教派のメガチャーチであるラスベガス国際教会の礼拝に参加したと語った。
新型コロナウイルスの感染に関する質問では、「多くの偉大な米国人が、私と私の家族のために祈っていると言い手を差し伸べてくれ、驚かされた。この国には、神に対する確かな信仰を持った素晴らしい人々が大勢いる」とコメント。「(妻の)メラニアと私は全米から、また世界中から祈られていることを感じた」と語った。
福音派の指導者から受けている影響について尋ねる質問では、熱心なクリスチャンとして知られるマイク・ペンス副大統領や、トランプ氏の信仰顧問の一人である女性テレビ伝道師のポーラ・ホワイト氏らに言及。「多くの信仰ある米国民と共に働けることを光栄に思っている」「これらの人々は、本当にわれわれの国を愛しており、神を愛している」と語った。
また今月初めには、大衆伝道者のフランクリン・グラハム氏らがホワイトハウスの大統領執務室を訪れ祈ったことに触れ、「彼らの祈りに感謝し、彼らの偉大な信仰に励まされている」と語った。
トランプ氏はこの他、現政権がこれまで手掛けてきた信教の自由に関する国際的な取り組みや、2018年にホワイトハウスに設置した「信仰・機会イニシアチブ」の成果などについて語った。