1. 自殺のまん延
2020年は新型コロナウイルスによって世界中が大混乱になった。日本では死者も少なく、次第に落ち着いてきたが、ウィズコロナが心配される。経済は、政治は、来年のオリンピックは、会社は、就職は、結婚は、子育ては・・・心配したら切りがない。
そんな中で、芸能人の自殺が多発して話題になった。8月から、三浦春馬さん、芦屋星さん、藤木孝さん、竹内結子さん・・・有名芸能人が次々に自殺した。
7~9月を通じて男性がほぼ前年並みだったのに対し、女性の自殺者の増加率は7月16%増、8月40%増、9月28%増と著しい。厚生労働省のデータによると、小学生から高校生までの8月の自殺者数は59人と前年の28人から倍増し、自ら命を絶つ子どもが増えていることも浮き彫りになった。予測では、今年の自殺者数は昨年より6611人増の3万6962人で、過去最悪の3万4427人(2003年)を上回っている。結果として、コロナの死亡者数よりも自殺者増加数の方がはるかに多い。
2. 竹脇無我さんのうつからの立ち直り
ある時、思い立って、大阪にいる小学校のクラスメートに伝道するため、聖書や私の本やクリスチャンの証しをたくさん郵送した。
しばらくして「佐々木君、申し訳ないが、先日送ってくれた郵便物、もう一式送ってくれないか?」と電話があった。「えっ、どうして?」と聞くと「実は、俳優の竹脇無我が大阪公演の時はボクの家に泊まっているんだ。君の郵送物を机の上に置いておいたら、彼が勝手に開封して中の物を読んだんだよ。そして『おい、これが俺が求めていたものだ!悪いけどもらっていくよ!』と言って、東京に持っていってしまったんだ」と言う。
その当時、無我さんは不倫を原因とする離婚問題などで非常に思い悩んでいた。それが原因で強度のうつを発症して、いつも「死にたい、死にたい」と言っていた。ホテルに泊まると窓から飛び降りたくなるので、大阪公演の時はいつも、私の友人宅に居候していたのだった。
そんな無我さんが、絶望のどん底で、私が送った聖書を読んで生きる希望を持った。その後、私は何度か無我さんと会って福音を伝えた。やがて、彼はキリストを信じて、生きる希望を持ち、うつが癒やされ、自殺願望からも解放された。こうして見事に立ち直り、舞台やテレビでも活躍した。私が関与したクリスチャンの映画「ふうけもん」にも出演してもらった。
3. キルケゴールの名言
「失望したければ世の中を見よ。絶望したければ自分を見よ。希望を持ちたければキリストを見よ」
実存主義哲学の創始者といわれる、デンマークの哲学者セーレン・キルケゴールの言葉である。彼は『死に至る病』という本を書いているが、その中で「死に至る病は、『絶望』である」と断じている。人生に絶望するから自殺するのである。どんな過酷な状況に置かれても、希望さえあれば、自ら命を絶つことはない。
聖書によれば、本物の希望はイエス・キリストにしかない。聖書の神は「希望の神」といわれる。この希望は神から与えられ、神が実現してくださるのである。だから一時的に失望することはあっても、絶望して自ら死に至ることはない。
あなたがたに願いを起こさせ、それを実現に至らせるのは神である。(ピリピ2:13)
思い煩いは、何もかも神にお任せしなさい。神が、あなたがたのことを心にかけていてくださるからです。(1ペテロ5:7)
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