菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否した問題をめぐり、東京基督教大学の山口陽一学長は27日、「日本学術会議が要望する理由の説明と会員候補者の速やかな任命」を願うとする見解を大学ホームページに掲載した。同会議は、任命しなかった理由の説明と6人の任命を求める要望書を首相側に提出している。
山口氏は、「総合的・俯瞰(ふかん)的な活動を確保する観点から」としか理由が説明されないことへの批判が高まる中で、同会議の見直しを進めるのは「問題のすり替え」と指摘。「学術の立場から政権の耳に痛いことをも『勧告』することは日本学術会議の使命であり、それを諒(りょう)とする政府であってこそ国民の信頼を得ることができる」と訴えた。
任命を拒否された6人の中には、キリスト教学が専門の芦名定道・京都大学大学院文学研究科教授もいた。山口氏は芦名氏を念頭に「私たちが日頃からその学術的業績に注目し、敬意を抱いてきたキリスト教学の研究者」と述べ、「人文・社会科学の候補者からの6人が任命されない理由がわかりません」と強調した。