日本キリスト教協議会(NCC)は7日、日本学術会議の会員候補6人が任命されなかった問題で、「法違反であると同時に、憲法の精神に違反します」とする抗議の声明を発表し、菅義偉首相に対し、任命拒否の速やかな撤回を強く求めた。
声明は、同会議の独立性を規定する日本学術会議法3条の趣旨を歴史の首相は一貫して尊重してきたとし、さらに憲法23条が保障する学問の自由とは、単に個別の学問の営みだけでなく、公的な学術機関の自立をも保障すると指摘。加藤勝信官房長官が「会員の人事などを通じて、一定の監督権を行使することは法律上可能」(1日)、菅首相が「法に基づいて適切に対応した結果」(2日)と述べたことは、「国会の指名に基づいて任命される首相(憲法第6条)を、天皇が任命権を行使すると言って退けるようなことに相当するほど理不尽なことというほかありません」とした。
また、学問の自由が侵害される事態を黙認することは「信教の自由や政教分離の危機と密接に連関している」と強調。「かつての大戦におけるキリスト者の深い反省を込めた以下の言葉を想起する」とし、「ナチが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。けれども結局自分は共産主義者でなかったので何もしなかった」とするナチス・ドイツで迫害を受けた神学者マルティン・ニーメラーの詩を引用した。