日本に「生死学」を広めたカトリック司祭で上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケン氏が6日、肺炎のため死去した。88歳だった。告別式は11日午後4時から、カトリック麹町教会(聖イグナチオ教会、東京都千代田区)でイエズス会員のみで執り行う。喪主はイエズス会の瀬本正之(せもと・まさゆき)司祭。主司式はイエズス会のレンゾ・デ・ルカ日本管区長。国内各紙が伝えた。
デーケン氏は1932年ドイツ生まれ。イエスズ会の派遣により59年に来日し、65年に東京で司祭に叙階された。73年に米ニューヨークのフォーダム大学大学院で哲学博士の学位を取得後、上智大学で30年にわたり「死の哲学」「人間学」などの講義を担当した。
死を忌避する社会の傾向に対し、「死を見つめることは、そのまま自分に頂いた命を最後までどう大切に生きぬくか、愛する人を喪った悲しみからいかに立ち直るかなど、自分の生き方を絶えず問い直し、行動していくこと」を理念に、「死への準備教育」を提唱。82年に「生と死を考える会」を発足させ、日本での終末期医療の改善やホスピス運動の発展に尽力した。
日本に死生学という新しい概念を定着させたとして、91年に第39回菊池寛賞を受賞。98年には「死への準備教育」普及の業績でドイツ政府からドイツ連邦共和国功労十字勲章を受章した。他に全米死生学財団賞(91年)、第15回東京都文化賞(99年)などを受賞。著書に『死とどう向き合うか』『よく生き よく笑い よき死と出会う』など多数。