米ミネソタ州で黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害された事件を皮切りに、全米で警察への不信が広がる中、テネシー州のある教会は、近隣住民を守る地元警察への感謝のしるしとして、警察職員全員に一人当たり千ドル(約10万7千円)を寄付した。
同州ジョーンズボローにあるライトハウス宣教バプテスト教会は4日に開いた式典で、地元警察のために用意した計2万3千ドル(約247万円)の小切手を公表した。同教会のペリー・クリーク主任牧師によると、このところ多くの警察官が虐げられているという報道を受け、教会として何らかの慈善活動を行う必要性を感じたという。
「私たちは、警察全体がやる気を削がれるような扱いを受けているという報道を耳にしています。米国のいろいろな場所で、地方自治体が現地警察の予算を削減しています。そうすることで、警察を攻撃する人たちを支持していることをほのめかしているのです」とクリーク牧師は説明した。
「私たちは、法の執行機関である警察への支持を大胆に表明したいと考えました。私たちの願いは、象徴的なメッセージを発信することで、私たちがジョーンズボロー警察を支持していることを伝えることでした。また、職員一人一人を心に留めて(経済的に)支援することで、実際的な支援を表明することでした」
式典には、ジョーンズボロー警察のロン・ストリート警察長やクレイグ・フォード公安管理官ら約200人が参加。クリーク牧師は、多くの参加者が与えられたことで、力づけられたと語った。
「私たちは、自教会以外の何人も代弁していないことを自覚しています。また、自分たちを模範にするよう、他教会にアピールしているわけでもありません」と続けた。
「ただし私たちは、この国の警察が受けている処遇について、何百万人もの米国人が私たちとまったく同じように感じていながら、それを発言できないと感じていると思っています。この国の多くの過ちを警察のせいにし、警察を非難する人たちの発言はかなり拡大しています。警察を支持する発言が大きくかつ大胆になることを願っています」
5月25日にフロイドさんが殺害された後、米国では何週間にもわたって、広範な抗議行動やデモが発生している。
多くの人が、フロイドさんの死は警察による残虐行為であり、組織的な人種差別だといった、より大きな問題として見ている。また、警察の予算削減や一部の部署の廃止を要求する声も出ている。
クリーク牧師は、フロイドさんの死は「疑う余地のない邪悪な行為」だとし、「容疑者らが全面的に法の正義を受けること」を求めた。しかし同時に、「フロイドさんの殺害に対する反応、略奪や放火、公共および私有財産の破壊、警察に対する下劣な扱い、警察に汚名をきせたり、悪魔扱いしたりすることも邪悪な行為です」と非難した。
「悪に対する私たちの対応は、何か良いことをすることです。私たちがとても良いと感じる何か(をすること)です。地元の警察に対する支持や激励といった行為は、より多くの米国市民の支持表明につながると私たちは考えています」