昨年11月のローマ教皇フランシスコ訪日について、日本カトリック司教協議会常任司教委員会がインターネット上で実施したアンケート結果をまとめ、23日にカトリック中央協議会の公式サイトで発表した。教皇訪日のテーマでもあった「すべてのいのちを守るため」に自分ができることについて聞いたところ、周囲への思いやりや他者への関心、奉仕活動やボランティアなどを挙げる意見が多く、「社会への働き掛けの在り方および行動が肝要であると考えている傾向」が見受けられるとした。
アンケートは、今年2月から4月末まで、カトリック中央協議会の特設サイトで実施。カトリック信者や教皇訪日の関連イベント参加者を中心に499人から回答を得た。報告書は、記述式の幾つかの質問について具体的な回答内容を紹介しながら、その傾向をまとめた。
「いのちの尊厳を脅かすもの」は何かとの質問には、回答の半数近くが無関心、家庭内暴力(DV)、家庭内不和、差別などの「人間の悪意」を挙げた。人工妊娠中絶に関する回答も目立ったという。また、「いのちを守るために、どのような活動ができるか」との質問には、周囲への思いやりや他者への関心といった意識改革が最も多く、回答の約3割を占めた。次いで、奉仕活動やボランティアなどの社会貢献が約2割を占め、この2つの回答が全体の半数を占める結果となった。
「すべてのいのちを守るために、カトリック教会(宗教)に期待すること」は何かとの質問には、「さまざまなメッセージの発信」を挙げた回答が最も多く、全体の2割弱を占めた。次いで多かったのは、「交流・祈りの場を設ける」「苦しむ人への同伴」だった。教会の姿勢刷新を求める声や、教皇ミサの抽選に落選したことに対する不満、新型コロナウイルス禍に関する心配の声なども寄せられた。
報告書の冒頭で同委員会は、アンケートの結果を受けて「一人ひとりが、信仰、信条、立場などを超え、協力しながら社会の中で活動するためには、まず教会が外に出向く意識をもって行動すること――宗教による壁を作ることなく、すべての人にメッセージを発信し、信仰を問わず人々の交流や祈りの場を設けることなど――が求められ、期待されていることが分かりました」とコメント。一方で、「教会の閉鎖性、教区・教会ごとの意識や活動の差異に苦言を呈すご意見もありました」とし、「これらの意見を受けて、教皇フランシスコ訪日に応える活動を検討してまいります」と述べた。