新型コロナウイルスの感染者が国内でも急激に増加していることを受け、日本福音ルーテル教会は26日、「礼拝を行うにせよ、一時中止するにせよ、それぞれの『すべての命(いのち)』を守る判断を支持いたします」とする議長談話を発表した。
大柴譲治総会議長は談話で、東京都が25日に「感染爆発の重大局面」として緊急の記者会見を開いたことや、小池百合子知事が「首都封鎖」の可能性にも言及したことに触れ、今後、このような事態が全国に拡大する恐れがあることから、次の観点を確認するとした。
- 日本福音ルーテル教会は、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている状況の中で、何よりも「すべての命(いのち)」を守ることを最優先にして事柄に対処してゆく。
- 「すべての命(いのち)」を守るというとき、それは会員のみならず、地域社会を含む「すべての命(いのち)」を守るということを意味する。
- そのためにも、知恵を尽くし、心を尽くし、祈りを尽くし、力を合わせて神の御心の実現を求めてゆかなければならない。
さらに、上記の観点から各教会、各教区が事態への対応を判断するに当たり、危急と思われる事柄として、次の2つを示した。
- 日本福音ルーテル教会は、神の御言に聽(き)く「神奉仕としての礼拝」を大切にしてきた。しかしルター自身は、『ガラテヤ書大講解』や『大教理問答』の中で、これを律法的に理解することは戒めている。「主の日」も「礼拝」も、時と場所を限定するものではない。注意深く言う必要があるが、私たちはそれを律法的に「不要不急なもの」であるとは理解していない。「すべての命(いのち)」を守る観点から私たちは、状況に柔軟に対処し、譲ることができるところは譲ってゆく賢明さを持っている。よって今後、感染拡大が見込まれる地域では、「礼拝」の公開の中止を積極的に選択することが求められるべきと考える。オンラインという非公開の形で礼拝を守り続けることができる教会は、ぜひそれを実施し続けること。
- 現時点では「葬儀」について、参列者の居住地や規模などを勘案し、細心の注意を払いながら行う方向で考えている。葬儀社の協力のもと、時期をずらすことが可能であるならば、それも検討されるべき。
大柴議長は、「今後、東京都のみならず地域ごと、あるいは時期によって、細やかな対応と判断を各教会、各教区は求められることになります」とし、「ご一緒に祈りを合わせてまいりましょう」と呼び掛けた。