日本基督教団は27日、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、各教区や教会、伝道所、関連施設の関係者に向けた注意喚起の第2信を発表した。教会で実施している感染対策の具体例を幾つか示しつつ、「一人一人が、諸教会・伝道所が、諸教区(支区・地区・分区)が、神に向かって真摯(しんし)に祈り、最も良い答えを見いださせていただき、この“試練の時”をご一緒に乗り越えたい」とした。
今回の注意喚起で示された方針は次の通り。
- 教会活動の基本は、毎主日の礼拝。しかし専門家によれば、礼拝は「感染リスクの高い環境」であることを認識する必要があることに変わりはない。そこで、礼拝をささげる場合は、礼拝時間の短縮や換気の徹底など、可能な限り感染のリスクを減らす対策を必ず取るようにすること。
- 礼拝は集会でもイベントでもないため、教会が礼拝をささげない(中止する)ということはない。たとえ礼拝堂に集うことがなくとも、「教会は礼拝をささげる」ということを大切にすること。
- 現実的には、各教会・伝道所の判断が優先されるが、いうまでもなく、「祈り」をもって慎重に判断すること。
- 感染リスクが高くなるのは「換気の悪い密室空間」「多くの人が密集した場所」「近距離(手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声」。これらの条件が重なる場合は、礼拝堂での礼拝を中止することも検討すること。
- 高齢者や、重症化しやすいリスク(基礎疾患)を抱えている人へは、十分な配慮をすること。礼拝出席の自粛を申し出た場合は、祈りと配慮とを忘れないこと。
- 感染に対する危機意識を持ちつつも、いたずらに感染を恐れて、互いに自分の意見を主張し合うようなことは慎むこと。特に、差別的な言動が生じてはならない。
- 教団では、各種委員会以外の、全国の広い地域から出席者が集う集会は原則中止しているが、感染状況や人数などの状況によっては委員会レベルも中止することを検討する。スカイプ会議なども推奨する。
- 教会・伝道所の総会や教区(支区・地区・分区)の総会などの開催については、慎重に判断すること。開催しない場合の対応に迷ったときは、教団事務局に相談すること。
注意喚起で示された感染対策の具体例は次の通り。また、教会や地区では定期総会の時期にも当たることから、総会開催方法の具体例も提示した。
教会で実施している感染対策の具体例
A教会
- 主日礼拝は、どのような形にしろ、休止しない。
- 礼拝プログラムの短縮(賛美歌を歌う回数などを少なくする)。
- 聖餐式を取りやめる。
- 賛美歌は起立しないで、小さな声で賛美する。
- 間隔を空けて着席する。
- 礼拝出席者で新型コロナウイルスの感染が判明したら、その情報を公開する。
B教会
- 御言葉に仕える教会としての使命はこの時にこそあるため、実施形態はともかく礼拝「中止」の判断はしない。
- 会堂の入り口にアルコール消毒設置や会堂内の除菌・消毒を行う。
- 欠席者(欠席希望者)への説教原稿の送付(送信)。
- SNSの利用による教会の情報の発信。
- 高齢者・基礎疾患を持つ人々、感染リスクの疑いがある人々への声掛けの実施。
C教会
- 発熱・せきがあるときは欠席して自宅で祈る。
- 教会に着いたら、石けんで手を洗う。
- できたらマスクを着用する。
- 集会での飲食は控える。
- 集会にはマイボトルを持参し、座席に余裕を持って座る。
- 礼拝出席は各自の判断に任せるが、高齢者、公共交通機関利用者には、慎重な判断を呼び掛ける。
D教会
- 報道に惑わされず冷静さと神様の導きを信頼し福音の示すところに立ち、ひずみを負わされる弱者を覚え、キリスト者の祈りと行動を考える。
- 礼拝中の賛美歌は奏楽に耳を傾けて黙想し、祈祷と詩編交読は、司式者のみにする。
- 子どもの教会(教会学校)はお休み。各委員会もお休み。
- 高齢者、子どものいる家庭、健康に不安のある人、公共交通機関を利用する人、感染症リスクのある人には、金曜日に週報を配り、土曜日に再度「礼拝出席をお控えいただく」と伝え、主日礼拝説教の原稿を届けて自宅での礼拝を勧める。
■️ この他にも、換気に注意しながら礼拝をささげる、礼拝のネット中継、ユーチューブなどによる動画配信(この場合は賛美歌の著作権に注意する)など、さまざまな工夫をしている教会がある。ホームページなどを検索して確認できる。
■️ 現在、礼拝施設(礼拝堂)での礼拝を休止している教会もある。
教会総会、支区・地区・分区総会、教区総会開催方法の具体例
総会を開催するかしないかを決定する(役員会・常置委員会などで)。
【開催する場合】
- 開催時間はなるべく短縮する。
- 選挙だけを実施して解散する。開票結果は後日連絡する。
- 次年度活動計画と予算を承認して解散する。
- 前年度活動報告決算は後日開催で承認する。
【開催しない場合】
- 議決権行使書を実施する。
- 延期か休会かの議決を採る。
- 前年度活動決算報告・次年度活動計画、予算を含めての議決を採る。
- 次年度活動計画と予算の議決のみを採る。
- 選挙については現任議員の延長を議決する。
- 選挙だけの総会を後日開く。
■️ 上記は考えられ得る項目を並べたもの。状況に応じて、組み合わせること。
■️ 開催するにしろ、開催しないにしろ、いろいろな方法が考えられる。教会規則や支区・地区・分区・教区の開催時期に関する規則をまず確認すること(例:第〇条「総会は毎年〇月に開催する」)。
■️ もし「毎年〇月に開催する」との規定があり、その月に開催できない場合の議決権行使書による書面決裁の議案の例は以下の通り。
- 表題:第〇回△△教区総会開催延期に関する件
- 議案:第〇回△△教区総会の開催を延期する。総会の新たな開催日時、会場の検討と決定については教区常置委員会に一任する。
- 提案理由:新型コロナウイルス感染拡大防止のため、△△教区規則第〇条〇「教区総会は、毎年〇月に開く。」の適用を停止し、第〇回△△教区総会開催を延期する。なお、新たな開催日時、会場の検討および決定については教区常置委員会に一任する。
※ なお、この議決は3分の2以上の表決が必要(『ロバート議事規則』「第VIII章付随議案 §25規則の適用停止」より)。
■️ 総会議員の任期延長は、教規第3条②「天災その他やむを得ない事故のため議員の選挙を行うことができないときは、常議員会の議決を経て、議員の任期を延長することができる」を準用すること。
■️ 教団総会議員は、教規第4条「議員の任期は、選挙があった年の8月1日から始まる」とある。通常は7月開催の常議員会で承認している。それまでに選挙を終えるか、任期の延長を諮ること。