新型コロナウイルスの1日当たりの国内新規感染者が27日、初めて100人を超えた。感染者が最も多い東京都では、25日から3日連続で新規感染者が40人台と、高水準が続いている。行政が週末の外出自粛を要請する地域も少なくない中、キリスト教会は、週末の礼拝をどのように対応すべきなのか。北海道内の複数の保健所で所長を務めた経験のある公衆衛生専門医でもある吉田浩二牧師(JECA厚別福音キリスト教会)に話を聞いた。
吉田牧師は、首都圏と近畿圏ではすでに、感染爆発が発生している可能性も否定できないと見ている。東京都では今週に入り、それまでは一桁か多くても10人台前半だった新規感染者が、23日には16人、24日には17人、そして小池百合子知事が緊急会見を開いた25日には41人と急増したからだ。今後の推移を注意深く見ていかなければならないが、これだけ見ると指数関数的な増加で、感染爆発が疑われるという。一方、25日以降の3日間は40人台で推移しており、「この数字が続くのであれば、まだ押さえ込める希望はあるが、楽観はしない方がよい」と話す。
外出自粛要請の中で安全に礼拝を守るために
東京都などでは、週末の外出自粛要請が出されているが、教会は礼拝を継続しても大丈夫なのか、それとも休止すべきなのか。吉田牧師は「あくまでも各教会が自律的に判断すべき」としつつも、幾つかの条件を守れば「当面会衆が集う礼拝を続けることは可能ではないか」と言う。
吉田牧師は、次の5項目に該当する人に礼拝を休むよう依頼することを、その条件として上げている。
- 公共交通機関を使わないと教会に来られない人
- 70歳以上の高齢者、心疾患、呼吸器疾患、糖尿病、その他免疫の低下をきたす恐れのある持病を持つ人
- 1週間以内にせきあるいは37度以上の発熱、味覚障害、その他風邪のような症状があった人
- 感染がまん延している国から帰国した人及びその家族(帰宅後3週間)
- 職場、学校、サークルなどで、新型コロナウイルスの感染が明らかになった人と1メートル以内に接近した人(接近後3週間)
一方、これらの項目に該当しない人で礼拝を続ける場合も、次の項目を留意するようアドバイスしている。
- 教会に来たときは、必ず手洗いをする。洗面所にはタオルを置かず、ペーパータオルを用意する。
- 握手やハグを伴ったあいさつは避ける。
- 賛美は座ったままで歌う。可能であれば、キーを1音ないし1音半下げて歌う。
- 頌栄と祝祷は、起立しても問題ないと考えられる。
- 礼拝中の空気がよどまないように注意する。空気清浄機を設置できる場合はそれが望ましいが、礼拝中に1、2回換気をするだけで十分な効果がある。
- 上記条件を満たしている場合は必ずしもマスクをする必要はない。しかし、周囲の安心のために、司会者や説教者は当面マスクをするのはよい。ただし、マスクを入手できない人もいるため、マスクをしていない人にも配慮の言葉を掛ける。
礼拝に来られない人への配慮、献金について
ただし、こうした条件の下では、特に都市部では公共交通機関を利用して教会に来る人が多いことから、礼拝に出席できる人はかなり限られると予想される。そのため吉田牧師は、礼拝を休まざるを得ない人々への牧会的配慮の重要性も語る。礼拝のインターネット配信も一つの方法だが、すべての信徒が十分なネット環境を整えているわけではないため、説教原稿を郵送やFAX、メールなどで届けるなど補足的な対応も必要だと言う。
礼拝出席者の減少による献金の減少も一つの懸念となる。あらためて月定献金の意義について語り、礼拝に参加できなくても、月定献金をささげることができるよう、何らかの方法を検討した方がよいとアドバイスする。
長期化は必至、教会活動全体の見直しの必要も
「新型コロナウイルスは、特効薬が見つかるか、あるいはワクチンが行き渡るようになるまで収束することはないでしょう。この状況は相当長期にわたると考えるべきです」。吉田牧師は、長期化は必至だとして、一時しのぎの対応ではなく、今後1年ほどの教会活動全体を見直す必要も訴えた。
また、各教会が自律的に判断するにしても、地域の教会が互いの情報を共有し、祈り合い支え合うことが必要だとし、そのようなシステムの構築も求められると吉田牧師。「行政から強制されて慌てるのではなく、早めに準備態勢に入ることが大切」「こういう試練の時、危機的な状況の時にこそ、各個人の信仰や教会の姿勢が表れてくる」と述べた。