米南東部アラバマ州内に20以上のキャンパス(拠点)を持つメガチャーチ「ハイランド教会」が17日から、その内の1つのキャンパスで、ドライブスルー形式の新型コロナウイルス検査の提供を始めた。
検査の提供を始めたのは、同州最大の都市バーミンガムにある同教会のグランドビュー・キャンパス。地元の医療研究所アシュアランス・サイエンティフィックと、キリスト健康センターと協力し、新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した人、せきや発熱などの症状のあるアラバマ州在住者を対象に検査を行っている。
声明(英語)によると、同教会は地元当局の保健部門の指導の下、毎日午前10時から午後2時まで検査を実施している。貴重な検査キットを無駄なく割り当てるため、検査は1日500人に限定。フェイスブック(英語)では次のように呼び掛けている。
「検査キットが全国的に不足しているため、(検査の対象は)せきや発熱などを発症している方か、新型コロナウイルスの感染者と診断された人と濃厚接触した方に限定されています。検査キットの保護にご協力ください。検査の必要性が不明な場合、検査は行いません」
検査結果は72時間以内に判明する。検査を受けに来場した人は、問診により検査資格の有無を確認する。キリスト健康センターとの共同声明では、次のように伝えている。
「公衆衛生の観点から、(検査を受けに来た方は)全員、車の窓を締めた状態で車中にいていただくことになります。感染の恐れがあるため、トイレは使用できません」。また、検査のために来場した人は全員、「陰性の検査結果を受け取るまで自主隔離が推奨されています」と通告している。
同会場で検査を受けた場合、大手保険会社やメディケア(連邦政府による公的医療保険制度)、メディケイド(連邦政府と州政府が共同で行っている医療扶助事業)などの保険機関を通して検査料が請求される。
一方、検査を共同実施する3者は、保険に加入していない人の費用を賄うため基金を設立し、「支払不能を理由に(検査を)拒否される人がいない」ようにしている。
同教会は声明で、高齢者と慢性疾患のある人は群衆を避けるようにも勧めている。
同教会のクリス・ホッジス主任牧師は日曜日の15日、全米の他の多くの牧師と同様、新型コロナウイルスに関連した説教を動画(英語)で配信した。
「これは、私たちが日曜礼拝を行うか否かをはるかに超えた問題です」とホッジス牧師は説教の冒頭で語り、「教会自体が奉仕なのではなく、教会とは奉仕する存在なのです。今、私たちが行っていることは、教会としての私たちを表すほんの小さな行為にすぎません」と続けた。
教会の代表者が地元の保健局員や市長と会合を持ち、「私たちに可能なあらゆる手段で近隣住民に奉仕できる」方法を同教会は模索しているとホッジス牧師は語った。
「もし皆さんの心に希望があるなら、私の言うことをよく聞いてください。この町は今、私たちを必要としています。私たちの周りにいる方々は今、私たちを必要としています。世の人は落胆しています。世も末だと考えています。事態は深刻です。その点をお間違えありませんように。今は地球規模のパンデミックなのです。これは深刻な問題です。私たちはこの状況を乗り切らなければなりません。私たちには必ずできます」
同教会は2016年、もともとカンファレンス施設だった建物を購入し、14番目のキャンパスとしてグランドビュー・キャンパスを立ち上げた。
一方、新型コロナウイルス検査のために会場を提供している教会は他にもある。
同じく複数のキャンパスを持つノースカロライナ州のビルトモア教会では、同州アーデンのキャンパスで、地元保健福祉局が運営するドライブスルー形式の検査を実施している。
地元紙シチズン・タイムズ(英語)によると、検査は平日午前10時から午後6時まで行われているが、検査資材の在庫状況によっては時間に変更が出るという。こちらも検査を受けられるのは、新型コロナウイルスの感染者と接触した人か、すでに発症している人のみ。
米疾病対策センター(CDC、英語)は19日現在、新型コロナウイルスにより、米国では1万442人の感染者と150人の死者が出たと報告している。感染は、米国の全50州と首都ワシントン、プエルトリコ、グアム、米領バージン諸島で確認されている。
一方、米CNN(英語)によると、新型コロナウイルスの感染による死者の平均年齢は80歳とされている。