新型コロナウイルスによる感染で、16日までにイタリアのカトリック司祭10人が死去した。死者が出たのは、感染が集中している北部ロンバルディア州にあるベルガモ、ブレシア、クレモナの3教区。このうち最も被害がひどいのはベルガモ教区で、司祭20人が入院し、うち6人が亡くなった。カトリック系のCNA通信(英語)が同日伝えた。
CNA通信によると、ベルガモ教区のフランチェスコ・ブレスキ主教は同日、イタリアのカトリック系ラジオの取材に、「今週亡くなった司祭の数、また非常に危険な状況にある司祭の数はとても多い」と語った。
同教区で亡くなった6人の中には、パラグアイで宣教師として奉仕していた70歳の司祭や、59歳の司祭が含まれている。ベルガモは、第2バチカン公会議を開いた教皇ヨハネ23世(1881~1963)の故郷として知られているが、市当局は13日、病院の葬儀場がいっぱいになったため、共同墓地や教会を一時的な遺体安置所として開放すると発表するほど死者が出ている。
ブレシア教区では3人の司祭が亡くなった。このうち1人は74歳。クレモナ教区では、教区紙を30年にわたって担当してきた司祭1人が亡くなった。
クレモナ教区のアントニオ・ナポリオニ主教も感染し、10日間入院した。呼吸器系に重度の症状があったが回復し、16日に退院。現在自宅で14日間の隔離措置を取っている。
この他、中国・南陽教区名誉主教の朱宝玉(ジョセフ・ツー・バオユ)主教も感染したが、14日までに回復した。朱主教は98歳だった。
フランス西部のアンジェ教区は、先週バチカンを訪れたエマニュエル・デルマ主教が16日、新型コロナウイルスの検査の結果、陽性だったことを発表。しかし、デルマ主教の容体は悪くはなく、懸念するほどではないという。
イタリアは、新型コロナウイルスの感染が欧州で最も深刻で、感染者は16日までに2万7980人に上り、死者はこの4日間で千人以上増え、2158人となった。