ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2日、自身が主導する憲法改正について、新たに異性婚や「神への信仰」などを盛り込んだ追加案を下院に提出した。
現在、大統領通算4期目のプーチン氏は1月26日、下院に最初の改憲案を提出。今回新たに提出した追加案では、「結婚は男女の結び付き」とする同性婚を事実上禁止する項目を追加したほか、ロシア国民の「神への信仰」にも言及。さらに、領土の一部を他国に譲渡することを禁じる内容も盛り込んだ。
領土に関する条項は、2014年にロシアが併合したクリミアをめぐるウクライナとの緊張をさらにエスカレートさせる恐れがある。
ピョートル・トルストイ下院副議長は、2日に開いた記者会見で異性婚に関する項目について、前向きな姿勢を示した。英ガーディアン紙(英語)によると、トルストイ氏は「私にとって最も重要な提案は、結婚制度を男女の組み合わせで定着させることだ」「この改憲案が国家元首の署名の下に提出されたことを私は歓迎している」と語った。
改憲案の可否は、4月に予定されている国民投票の結果で決まるが、承認された場合、現憲法が施行された1993年以来初の憲法改正となる。
ロシアは公式には世俗主義を掲げているが、国民の多くはロシア正教徒で、プーチン氏はロシア正教会に近いとされている。
プーチン氏は、以前から同性婚に反対の立場を示しており、一部のLGBT(性的少数派)運動家らが「母」と「父」をそれぞれ「親1号」と「親2号」に置き換えようと運動を展開していた際、それを阻止した経緯がある。プーチン氏は当時、次のように述べていた。
「『親1号』と『親2号』については、すでにお話したとおりです。もう一度繰り返します。私が大統領である限り、このようなことは実現しません。お父さんとお母さんは、そのまま存続します」