サッカーの「2018FIFAワールドカップ」が14日から始まったロシアで、開催期間中に見込まれている観客300万人に福音を伝えようと、全国規模の伝道キャンペーンが行われている。
このキャンペーンを主催するのは、旧ソビエト圏で活動する伝道団体「ミッション・ユーラシア」。会長のセルゲイ・ラクーバ氏は「世界中のサッカーファンは自国チームの勝利のために応援しますが、クリスチャンは別の結果を思い描いて共に祈ってください」と呼び掛けている。
「今から数週間、これまでにない機会が与えられています。主がこのキャンペーンを用いてくださり、御国の建設のために多くの人に福音を伝えることができるよう、世界中のクリスチャンに祈ってほしいのです」
14日にモスクワで開幕したワールドカップは、ロシア国内11都市12会場で約1カ月間にわたり繰り広げられる。この間、ミッション・ユーラシアは地元の400教会と協力し、旧新約聖書60万冊に加え、教会案内用のQRコードが付いた特別版新約聖書10万冊を配布する。
ワールドカップ開催期間中は、ロシアに世界中から多くのサッカーファンが訪れる。ミッション・ユーラシアはこの間、聖書の配布だけでなく、1800世帯で聖書研究会を開き、また1万5千人の子どもたちが参加できる日帰りキャンプも計画している。
ロシアの全国家庭文書伝道協会(EHC)でコーディネーターを務めるドミトリー・ルニキン牧師(サンクトペテルブルク在住)は、30年にわたり若いキリスト教指導者を育成してきたミッション・ユーラシアの働きを評価する。
「このように重要な伝道ツールが無償で提供されていることに非常に感謝しています」とルニキン牧師。「ミッション・ユーラシアのおかげで、私たちは神の生ける言葉を町の人々に伝えることができます。いつの日か主が来られ、この伝道の結果として多くの人がキリストを心に受け入れたことが分かると思います」
ロシアでは2016年、国内の伝道活動を著しく制限する「伝道規制法」が制定された。同法は政府の認可を受けた礼拝堂以外の場所での伝道を禁止しており、一部のキリスト教指導者の逮捕につながっている。ロシア政府はこの措置をテロ対策の一環だとしているが、一部のキリスト教団体は行き過ぎた政策だと非難している。
伝道団体「大宣教命令メディアミニストリーズ」のハンヌ・ハウッカ会長は当時、クリスチャンポストの取材に応じ、次のように語っていた。
「この新しい状況は1929年のソ連に似ています。当時は信仰の表明は教会の中だけで許されていました。事実上、私たちは昔と同じ状況に戻ってしまったのです。この反テロ関連法案は旧ソ連時代の最も厳しい規制法案に匹敵するものです」
ラクーバ氏は、ミッション・ユーラシアの伝道は法律に違反するものではないとし、当局に対しては理性的に行動するよう求めている。
「この伝道キャンペーンがロシア国民の生活を改善する助けとなり、ロシアに肯定的な変化をもたらすものとなることを当局が理解するよう、私たちは祈る必要があります。ロシアには大きなニーズがあります。さまざまな依存症や十代の自殺が増加しており、その他の社会問題も増えているからです」