イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が、ナイジェリア・キリスト教協会(CAN)ミチカ地区議長のラワン・アンディミ牧師を拉致・殺害したことを受け、キリスト教徒に対する迫害に抗議する行進が2日、ナイジェリア全36州のうち28州で行われた。行進には計約500万人が参加し、怒りの矛先は、相次ぐ拉致・殺害事件をくい止められない政府にも向けられた。欧州の福音派メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)が5日報じた。
行進は、CANの呼び掛けで行われた3日間の断食の最終日に行われた。参加者は、「ナイジェリアはみんなのもの」「ナイジェリアのキリスト教徒は攻撃されている。ブハリ大統領は今すぐ行動を」「この虐殺を止めよ」などと書かれた横断幕や紙を掲げて行進した。
ナイジェリアの一般紙「デイリー・ポスト」(英語)によると、CANエキティ州議長であるカトリック司祭のピーター・オロウォラフェ神父は、行進の参加者に向け、ナイジェリアのキリスト教徒を取り巻く状況は耐えられないほどのものだと述べ、現状を嘆いた。
オロウォラフェ神父は、同国で繰り返される殺りくに怒りを表明するため、全国規模で行われたこの平和的な抗議活動に参加したことを説明。オアンディミ牧師だけでなく、アダマワ州の自宅で銃殺されたルーテル派のデニス・バガウリ牧師や、ボルノ州で過激派組織「イスラム国西アフリカ州」(ISWAP)に斬首されたキリスト教徒11人など、他にも多くの犠牲者がいることを訴えた。
CANの指導者らは、これらの事件に怒りを示すとともに、同国の安全保障をめぐる協議を抜本的に改革し、特定の宗教や一部の地域に利権を独占させないよう、ムハンマド・ブハリ大統領に求めた。また、フラニ族の圧力団体「ミエッティ・アラー」をテロ組織に指定するようにも要求。フラニ族はイスラム教徒を主体とする遊牧民で、キリスト教徒主体の農民を度々襲撃しており、ナイジェリアのキリスト教徒にとってはボコ・ハラムに並ぶ脅威となっている。
CANはこのほか、2018年にボコ・ハラムに拉致された110人の女子生徒のうち、イスラム教への改宗を拒否したことで現在も唯一拘束されているとされるレア・シャリブさんを含め、過激派に身柄を拘束されているすべてのキリスト教徒の解放に向け、政府が全力で取り組むよう求めた。