ナイジェリアでイスラム過激派の少年兵が、キリスト教徒の大学生ラプビル・ダシア・ダレプさん(22)を処刑した。過激派組織「イスラム国」(IS)系のアマク通信が20日、処刑の様子を映した映像を公開した。
少年兵は、ISに忠誠を誓うナイジェリアの武装勢力「イスラム国西アフリカ州」(ISWAP)に所属しているという。ダレプさんは、同国中東部プラトー州パンクシン地区の出身で、北東部ボルノ州のマイドゥグリ大学に通っていた。
キリスト教迫害監視団体「世界キリスト教連帯」(CSW、英語)によると、映像ではマスク姿の少年兵がカメラに向かって語り、ダレプさんの殺害はキリスト教徒が犯した「流血」に対する報復だとしている。
「特にこいつはプラトー州出身のキリスト教徒だ」
「僕らはキリスト教徒たちに告げる。お前たちが僕らの親や先祖に何をしたか覚えておけ。世界中のすべてのキリスト教徒に告げる。僕らは忘れないし、(報復を)やめない」
「このように行われた流血に報復しなければならない」
ダレプさんはクリスマス休暇の後、生物学の研究を続けるため大学に戻ったところ、今月9日に拉致されたという。
CSWによると、少年兵はダレプさんの頭を銃で撃って処刑した。
ダレプさんの処刑映像が公開された20日には、同国北東部アダマワ州で今月初めに拉致されたナイジェリア・キリスト教協会(CAN)地域議長のラワン・アンディミ牧師も、別のイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」に殺害されている。(関連記事:ボコ・ハラム、拉致した牧師を斬首 WEA、WCCが祈りの呼び掛けや非難のコメント)
CSWのマービン・トーマス創立会長は、ナイジェリア政府は同国の治安問題に「より積極的に」対処する必要があるとし、次のように述べた。
「CSWはナイジェリア北部と中部のキリスト教徒に対する暴力の報告に深く憂慮し、悲しんでいます。彼らは多数の武装集団に包囲されています」
「治安の悪化が続いていることは、軍事戦略の再調整の緊急性を明示しています。治安部隊は十分な装備を確保し、信条や民族とは無関係に、あらゆる武力的脅威と戦い、すべての市民を守るべきです」
ISWAPは、2016年にボコ・ハラムから分裂した組織。昨年12月26日にも、キリスト教徒11人を処刑する映像を公開している。(関連記事:IS系勢力、キリスト教徒11人の処刑映像公開 指導者殺害への「報復」)