過激派組織「イスラム国」(IS)は10月28日、キリスト教徒の処刑や、女性や子どもたちを殴るシーン、また少年兵らによる捕虜の処刑を取り上げた新しい動画を公開した。
ISが公開した新しい動画は、シャリーア(イスラム法)の名の下に、キリスト教徒が殺され、子どもたちが殴られ、女性たちが処刑され、男性たちが十字架に付けられて殺される様子と、まだ幼い少年兵らが捕虜たちを処刑する様子を映し出している。
動画は40分ほどで、ISがイラクでとりでとしているモスルを守るための勝ち目のない戦いをしている最中に、傘下のテロリストのチャンネルで公開された。
動画は明らかにシリアのISの拠点ラッカから公開されたもので、斬首、鞭(むち)打ちなどの場面を取り上げることで、ISがシャリーアに基づいた処刑を執行していることを示す内容となっている。動画に登場する犠牲者たちの中には、キリスト教徒や女性も含まれている。
「不朽の栄光」というタイトルが付けられ、ニュースサイト「ヘビー」によって再投稿されたその極めて凄惨(せいさん)な動画は、見たところ、自分たちの領土が失われてゆくただ中で、ISの耐久力を示そうとしているようである。その動画は、ISが中東地域全体で戦闘を繰り広げる様子を示している。
クルド人民兵組織「ペシュメルガ」、イラク軍と特殊部隊、イランと同盟を結んだシーア派民兵、米国の戦闘機と軍事顧問たち、北部モスル近郊に配置されたトルコ軍を含む幅広い連合軍の約3万人の部隊は、モスル周辺でISの戦闘員たち約6千人と戦うことになる。
ISは、非スンニ派のイスラム教徒を含め、彼らが敵と見なした者たちを拷問し、罰するために残忍な手段を用いることで知られている。キリスト教徒や他の少数派が主なターゲットとなっている。
10月、あるシリア人女性は、ISの戦闘員が彼女の村を襲い、何百人もの子どもたちを殺害した様子と、彼女の息子がイエス・キリストへの信仰を否定することを拒んだため、ISによって処刑された恐ろしい方法について詳しく語った。
南カリフォルニアに拠点を置く人権団体「成功への道(Roads of Success)」のインタビューの中で、シリアの首都ダマスカス近郊のアドラ・アル・ウマリヤ出身の女性、アリス・アッサフさんは、2年以上前、IS傘下の戦闘員たちが彼女の村を襲い、無慈悲で、野蛮な殺人にふけった様子を語った。
ユーチューブの動画中の英訳によると、アッサフさんは、「私たちの目の前で200家族が殺されました」と述べた。「ISは彼らを撃ちました。私たちは非常に多くの人々が銃殺された事実を証言しました。それで、私は自分の子どもたちに対して、家族の他のメンバーが私たちの運命を知るために、自分の家で死ぬ方がいいと話しました(そしてそう考えました)。私たちが帰宅したとき、1人の人が私に、『ISはキリスト教徒たちを殺している』と言いました」
アッサフさんはISの戦闘員たちが最初にキリスト教徒たちを虐殺し、その後、シリア軍の兵士たちを殺したと述べた。
昨年、英語の機関誌「ダビク」の中で、ISは「異教徒」の女性たちを捕らえ、強制的に性奴隷にするのは「イスラム教の教えにかなっている」と述べ、その野蛮な行為を正当化しようとした。
ダビクには、「シャイターン(悪魔)が頭の悪く、意気地のない者たちの心の中に疑いを起こす前に、その人はカフィール(異教徒)の家族を奴隷にし、その女性たちを性奴隷にすることは、シャリーアではっきり正しいと認められた解釈であることを思い出すべきである。それは、もし誰かが否定し、あるいはあざけるなら、彼はそのことを教えるコーランと預言者ムハンマドの叙述の何節かを否定し、あざけることになり(中略)そしてそれによってイスラム教を捨てることになる」と書かれている。