米国は現地時間20日、公民権運動指導者と知られるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師(1929~68)を記念する祝日を迎え、アップルやグーグルなど大手IT企業もサイトやロゴを変更するなどして、その偉業を記念した。また、マイク・ペンス副大統領は前日19日、米テネシー州メンフィスにある米国立公民権博物館を訪問。地元の教会の礼拝に参加しスピーチした。さらに20日には、ドナルド・トランプ大統領と共に首都ワシントンの国立公園にあるキング牧師の記念碑を表敬訪問した。
アップルはこの日、キング牧師の写真と共に「Whatever affects one directly, affects all indirectly(一人の人間に直接的に影響を与えるものは、間接的にすべての人に影響を与える)」という言葉を公式サイトに掲載した。これは、キング牧師が当時収容されていたアラバマ州バーミンガムの刑務所から公民権運動のために共に働く牧師たちに宛てた手紙(英語)の一節だ。
また、ティム・クック最高経営責任者(CEO)はツイッター(英語)で、キング牧師がノーベル平和賞授賞式で語ったスピーチ(英語)を引用。「私は、あらゆる地域の人々が、自身の体のために1日3食を食べ、自身の精神のために教育を受け、また文化を持ち、そして自身の霊のために尊厳、平等、自由を持つことができると信じる大胆さを持っています」というキング牧師の言葉を引き合いに出し、「私たちもこのように大胆になり、すべての人にキング牧師の夢が実現するよう取り組もう」と投稿した。
グーグルは、キング牧師記念日にちなんだ「ドゥードゥル」を掲載した。ドゥードゥル(Doodle)は、祝日や記念日に合わせてデザインを変更したグーグル(Google)のロゴ。この日は、通常のロゴに合わせて、それぞれ青、赤、黄、緑のTシャツを着た6人の中央に、キング牧師の顔が描かれた白いTシャツを着た男性が立つというデザイン。デザインしたのは、キング牧師の故郷ジョージア州アトランタで活動する画家のファハム・ペコーさん。ペコーさんは、グーグル(英語)に次のように語った。
「キング牧師は、歴史において最も重要な人物の一人として記憶されています。彼の業績、思いやりの心、偉大さを目の前にすると怖じ気ついてしまいそうです。しかしキング牧師は、彼がしたこと、また彼が闘ったことは、決して並外れた偉業ではないことを、自身の言葉で教えてくれます。私たちは、すべての人類の向上のため、私たち自身の素晴らしさに立ち上がらなければならないのです」
ペンス氏は前日19日、キング牧師の暗殺現場であるモーテルを改修して造られた国立公民権博物館を訪問。またその後、メンフィスにある教会「ホーリー・シティー・チャーチ・オブ・ゴッド・イン・クライスト」の主日礼拝に参加し、スピーチも行った。ツイッター(英語)ではメンフィス訪問の様子を複数の写真と共に報告し、「この分断された時代に、国の良心に挑戦を促し、数百万人の米国民の心を震わせたキング牧師を覚えましょう」と投稿した。
キング牧師記念日(Martin Luther King Jr. Day):キング牧師の誕生日(1月15日)に近い1月第3月曜日に定められている米国の祝日。1986年、米国では民間人を記念する初の祝日として制定された。