聖書に基づいた「天が味方する生き方」とは何か。世界96カ国にネットワークを持つクリスチャン実業人の集い「日本CBMC」が主催するシリーズ講演会「天が味方する経営」の第2回が11月8日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で開かれ、ロングライフホールディングの遠藤正一社長が講演した。遠藤氏は、「人間はやりたいことをやり続けた人が勝ち組。でも、やりたくないと思ったことでも、受け取りようによってはやりたいことに変えられる」と言い、「商売のコツ、ヒントというのは、実は聖書の中に全部ある」と話した。
遠藤氏が1986年にゼロから創業したロングライフホールディングは現在、国内だけでなく中国や韓国、インドネシアなどを含む250カ所以上を拠点に、老人ホームや在宅介護など高齢者分野のサービスを広く展開している。2002年にジャスダックに上場し、年間売上高は120億円を超える。
遠藤氏は高度経済成長真っただ中の1955年、大阪府高石市に生まれた。19歳でクリスチャンになり、聖隷福祉事業団を創立した福祉事業家の長谷川保氏(1903〜94)の秘書として研さんを積んだ。クリスチャンとしての信仰を貫き、政治家としても日本の社会福祉向上に尽力した長谷川氏の生きざまが、遠藤氏の経営に大きな影響を与えたという。
講演で遠藤氏は、ハーバード大学が75年間にわたって行った幸福に関する研究で、良いコミュニティーとのつながりを持っている人がより幸福で長生きするとの研究結果が出たことを紹介。人間は誰もが死ぬが、クリスチャンには死ぬことのない永遠なる神が「良き友」として共にいてくださると述べ、人生を幸福に生きる秘訣が聖書にあることを説明した。
また、100歳以上の高齢者の多くが今を一番幸せと思い、感謝の気持ちが大きい傾向にあるという大学の調査結果を取り上げ、「19歳で人生の幸福を教会から教えてもらった。いつも喜べ、絶えず祈れ、すべてのことに感謝せよ。100歳にならないと分からないことが、19歳の時に分かった」と話した。
良いコミュニティーとのつながりを持つ人は長生きする一方で、「その逆は孤独」と指摘。50歳までに一度も結婚しない生涯未婚率は、男性が5人に1人、女性が7人に1人の割合に上り、離婚率も3割になっている。遠藤氏は「日本という国はますます個の社会になっていき、孤独な人たちがいっぱい出てくる。孤独な人たちに寄り添い、家族が構成されない人たちに、企業として『大家族』を作っていくというのがわれわれの使命」と語った。
講演後の質疑応答では、無一文からどうやって利益を上げていったかとの質問に、「若い間はとにかくがむしゃらに働く。聖書にちゃんとあります。われわれは畑を耕し、種をまく。最善のことをやったら、あとは神様が雨を降らし、太陽を当ててくれる」と話した。また、「どうしたら本当にやりたい仕事が見つかるか」との質問には、「本当に一生懸命やっている人は、どんな仕事の中でも喜びを見つけられる。やらされていると思うから面白くない。真剣にやっていったら、どんな仕事でも面白い」と語った。
「一つだけ神にかなえてもらえるなら」との質問には、「何でもかなえてくれているからいいかな。それは受け止め方」と話し、2歳で父親が他界したことや、妻が結婚2年目に脳卒中で倒れ、その後ずっと介護が必要になったというつらい境遇を乗り越えてきたことを明かした。「捉えようです。楽しい、面白いことはいっぱい起こってくる。皆さんの中で、神様なんて当てにならないと思う方がいらっしゃるかもしれない。実は、神様はもっといい形でかなえてくれている。神様はすべてのことを善しとしてくださる。これ以上の約束はない」と語った。