アジアキリスト教病院協会(ACHA)の第24回年次総会(11月14~16日)2日目午後は、歴史観光と文化交流のひとときとなった。まずバスで向かったのが、サムットプラーカーンにある「ムアンボラン」(タイ語で「古代都市」の意味)というタイの歴史、文化、建築、宗教、芸術を概観できる公園である。首都バンコクから約30キロ離れた所にある広大な公園で、ラーンナーやスコータイ、アユタヤ、ラタナコーシンなど、タイに存在したさまざまな帝国や王国の歴史、文化をたどることができた。公園内にある建物は3分の1スケールのレプリカであったり、過去の建造物の再現であったりと、タイ全土の歴史的風景を垣間見ることができた。
このように2日目午後の観光では、タイの歴史と文化に触れることができた。さらにその晩には晩餐会が行われ、参加各国の文化を紹介するという、文化交流においてよく考慮されたプログラムが用意されていた。特に、神であるイエス・キリストが人となられたという受肉を見るとき、また文化と歴史を通して、神の救いの計画が成し遂げられてきたことを覚えるとき、医療宣教においてもそのイエスの御業に倣うことを強く感じさせられた。まさにへりくだって、人と共にいるという在り方が、医療宣教にも求められていることを覚えされられた。
晩餐会は、ホスト国であるタイの歌と踊りで始まり、各テーブルにはタイ料理が並べられた。
ACHAの総会では毎年、各国の参加者による出し物の時間がある。日本は今年、日本に特徴的な四季を歌った唱歌5曲を披露し、その後に文化を超えて働かれる神をたたえるという意味を込めて、賛美歌を歌った。
淀川キリスト教病院によって準備された四季を表す唱歌は、「春の小川」「茶摘み」「夏の思い出」「もみじ」「雪やこんこん」の5曲。神がつくられた日本の四季の美しさを投影する画面を映し出しながら合唱した。それに続いて、「In His Time(御手の中で)」「Hallelujah(オリジナル)」を賛美。最後には、オリブ山病院の仲本悠輝が自身作曲の「Heavenly Jerusalem」を演奏し、会場の全員が立って手をつなぎながら耳を傾け、われわれクリスチャンが民族、文化、地域を超えた神の子であること、またわれわれの国籍は天国にあることを覚えることができた。
日本に続いて、韓国、台湾、シンガポール、そしてタイの参加者による出し物があり、文化の多様性と同時に、主にある神の家族、医療者としての一致を覚えることができ、神の恵みを皆が味わう時となった。午後の観光と晩餐会、そして各国の出し物を通して、文化の違いを認め、それを味わい愛しつつ、さらに文化を超えて働かれ、人々を一つにする神の恵みを覚えることができた。
そして晩餐会は、皆がタイの音楽に合わせて、それぞれの振り付けで一緒に踊るという、楽しいひとときで幕を閉じた。人間が神によってつくられた存在であること、その喜びのために癒やしの業を行うアジアのキリスト教病院の一致を覚えることができた。
なお、総会1日目の歓迎夕食会の後には、各国の代表者が集まり、ACHAの課題を話し合う会合があった。代表者は日本から6人、韓国、台湾、タイからそれぞれ5人ずつ、さらに今回はオブザーバーとしてシンガポールから2人の合計23人が集まった。この中で、ACHAの国際協力の一環として、ミャンマーのアガペー病院へ、日本、韓国、台湾が医療宣教を続けていくことが決議された。
一方、残念なことともいえるが、総会は来年、台湾で開催され、再来年は順番通りであれば日本での開催であったが、日本側の状況により再来年の開催地は韓国となった。理由は、前回日本で総会が開催された際、ホスト役を務めた淀川キリスト教病院は連続してホスト役になることはできず、オリブ山病院も、来年日本キリスト者医科連盟の総会が沖縄で開催されるため、ホスト役となるのが難しかったからだ。
ACHAは日本で始まった国際会議であり、今は韓国、台湾をはじめ、アジアの多くのキリスト教病院関係者が参加する大きな会議となっている。しかしその一方で、日本におけるキリスト教病院は60ほどあるが、多くの場合、キリスト教主義を明確に打ち出せていないという現実もある。そのため、歴史と伝統を引き継ぎ、時代をリードする病院として、日本においてもキリスト教病院が活躍し、全人医療を実践していけるよう、この会合の場を借りて各国の参加者に祈りをお願いした。(続く)
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