カトリック長崎大司教区は、女性信徒が40代の司祭から性的な被害を受けたと訴え、司祭を暫定的に聖職停止処分にしたことを明らかにした。女性は被害届を提出しており、警察が強制わいせつ容疑で捜査している。
時事通信や西日本新聞によると、司祭は昨年5月、長崎県内の自身の教会に女性を呼び出し、抱き付いたり、体を触ったりしたという。女性は同年6月ごろ、大司教区の人権相談窓口に相談。大司教区は司祭からも話を聞いた上で、被害があったと判断。同年秋ごろ、司祭を聖職停止処分とした。
一方、同通信によると、大司教区は当初、この処分を教区内の信徒には公表せず、不在の理由を「病気療養中」としていた。女性は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり、長期入院を余儀なくされたという。
NHKや朝日新聞によると、大司教区は27日、ローマ教皇フランシスコの離日を受けて記者会見を開き、その中で女性が性的被害を訴えていることを明らかにした。大司教区は「大変深刻に受け止めている」とする一方、まだ詳しい事実関係が把握できていなと説明。警察による捜査の推移も見ながら、状況に応じて発表や会見を行う予定だとした。
これに先立ち、日本国内の教区を取りまとめるカトリック中央協議会は15日、公式サイトで「聖職者による性虐待に関する調査の状況について」を発表。聖職者の性的虐待に関する調査はすでに2002年と12年に行っているが、今年6月から10月にかけて再調査を実施。現在も追加の調査を行っているとし、報告できる段階になり次第、調査結果を発表するとしている(関連記事:日本のカトリック聖職者による性的虐待、中央協議会が調査状況を説明)。